2月21日、球界に激震が走った。ロッテの新外国人・ナバーロ逮捕。ドミニカ共和国から来日時、カバンから出し忘れた銃弾2個が空港で発見され、銃刀法違反で逮捕されたのだった。
悪意なき“うっかりミス”を犯して逮捕されてしまったナバーロ。しかし、過去にはマキシモ・ネルソン(元中日)も同じミスで逮捕され、不起訴処分になったものの球団から出場停止3カ月の処分が下された。
昨年から球界では不祥事が連発しているだけにロッテ球団としても、前例より甘い処分は出しにくいだろう。
この事件にはロッテファンも悲鳴を挙げている。逮捕直前の2試合で2本塁打、巨人に移籍したルイス・クルーズが確固たるレギュラーだった二塁手にスッポリと収まる選手だっただけに、戦力ダウンは必至だ。
しかし、表には出せないものの、密かにほくそ笑んでいるのはロッテの内野陣だろう。固まりつつあった開幕オーダーに風穴があき、開幕スタメンに向けた熾烈な争いはさらに過熱する!
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■どうなるロッテ内野陣!?
まずは名手・クルーズが抜け、ナバーロも抜けた二塁のポジションから考えたい。昨シーズンの二塁手での出場数は以下の通りだ。
<2015年ロッテ二塁手>
・クルーズ 123試合(先発121試合)
・中村奨吾 30試合(先発15試合)
・三木亮 12試合(先発9試合)
・大嶺翔太 5試合(先発7試合)
・高濱卓也 2試合(先発1試合)
・根元俊一 1試合(先発0試合)
ほとんどの試合でクルーズがスタメンだっただけに本格的な穴だ。順当にいけば、2年目の中村奨吾…と言いたいところだが、今江敏晃が抜けた三塁手の穴もある。中村の昨年出場数は以下の通り(試合途中の守備位置変更による重複を含む)。
<中村奨吾ポジション別出場数>
三塁 47試合(先発40試合)
二塁 30試合(先発15試合)
中堅 13試合(先発12試合)
遊撃 5試合(先発3試合)
左翼 4試合(先発1試合)
三塁手ではチーム2位の出場数だった中村に続くのは、高濱卓也(9試合/昨季打率.286)、三木亮(5試合/打率.138)、細谷圭(4試合/打率.300)、大嶺翔太(2試合/打率.120)。
昨季後半から高濱が著しい成長を遂げているが、打撃面で劣る三木、大嶺翔や1軍で結果を出し切れない細谷では心もとなく、守備も加えた総合力では中村が最有力だ。
2月20〜21日のオープン戦2試合では、中村が1番三塁で先発出場しており、順調にいけばほぼ確定だろう。
■二塁手最有力は鈴木大地。そして遊撃手は…!?
そうなるとやはり二塁のポジションは鈴木大地となりそうだ。昨季は遊撃手に固定され141試合(先発137試合)に出場したが、2014年には51試合で二塁を守るなど経験は折り紙付き。
ほかに安定した戦力も見当たらず、チームのキャプテンである鈴木が引き受けることが濃厚だ。
そしてスライドして空くのが遊撃手。候補の1番手に浮上するのはルーキー・平沢大河だ。
ライバル候補は三木亮、大嶺翔太、高濱卓也の3人。しかし、先述の通り、三木は打力難で髙濱の遊撃守備は疑問符(昨季2軍で36試合7失策、守備率.953)が残る。大嶺翔は攻守両面で遊撃手を務めるのはやや厳しい……。
そうなるとやはり遊撃・平沢に期待したくなるのは、ファンも首脳陣も同じだろう。
ただし、高濱、三木、大嶺翔ともに二塁、三塁もこなせるため、「ショートのレギュラー争い」という枠ではなく「内野のレギュラー争い」になる。平沢が開幕スタメンをつかむには、総合的な期待値で3人を上回ることが求められているのだ。
打力の高濱、堅守の三木、成長中の大嶺翔。報道では平沢の動向だけがピックアップされそうだが、誰か1人でも飛躍すれば、平沢の開幕スタメンは危うくなる。ポジションにとらわれず、マクロの視点でライバル3人のオープン戦での成績にも注目していきたい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)