【サッカー日本代表】中身は小学生?長谷部が”ゲームと本を禁止”の波紋

Photo by tpower1978

 サッカー日本代表に選出されているDFの藤春廣輝が3月28日、代表キャプテンの長谷部誠が「試合前のバス移動のときはゲームをしたり、本を読んだりするのをなるべくやめよう」とチームに伝えたことを明かした。まるで小学生を諭すようなこのゲーム・本の禁止令について、サッカーファンの間で議論が起き、賛否が飛び交っている。

■昔からの伝統か…携帯ゲームに夢中の日本代表選手たち

 29日のシリア戦を5-0で快勝し、W杯2次予選をE組1位で突破した日本代表。その前日、藤春がミックスゾーンで取材に応じ、選手間ミーティングで長谷部が「練習からもっと意識を高く持ってやっていこう」「試合前のバス移動時はゲームをしたり、本を読んだりするのをなるべくやめよう」「今までは丸く収めてきたけど、これからは厳しく言う」などと発言したと証言。チーム全体の規律を正し、"皆の心を整える"宣言をしたという。
 
 サッカーファンは、とくにバス移動時のゲーム・本の禁止令に注目し、長谷部の提案をめぐって賛否両論。「行きは酔うし眼精疲労が溜まるから正解」「むしろそういうのを推奨するべき。メリハリを付けることこそ重要」と意見が拮抗している。

 ちなみに、代表選手がゲームをプレイするという話は今に始まったものではない。過去にも選手が携帯ゲームをプレイしていることが度々報告されている。例えば2011年のアジアカップの際には、岡崎慎司と内田篤人らが宿舎でハンティングアクションゲーム「モンスターハンターポータブル3rd」をプレイ。二人の様子は写真にも撮られ、他にも6人前後の選手が一緒にプレイしたという。

「良くも悪くも、現代っ子が増えている証拠でしょうか。代表内に平成生まれの選手が多くなってきて、世代交代の波を感じさせます。それにしても学校の先生のようになってゲーム禁止を指示しないといけないなんて、小学生相手じゃないんですから、なんとも嘆かわしい状況ですね」(報道関係者)

 もちろん、サッカー日本代表はプロフェッショナルのスポーツ選手。選手はプレイしている環境が異なり、試合までの集中力の高め方は人それぞれだろう。それでもゲームに興じるなど現代的な思考の選手がいる一方で、長谷部のようにバス移動のときだけでもゲームや本をやめて、少しでもコンディションを整えようと規律を重んじる選手もいる。

「高校サッカー部出身の選手は先輩・後輩の上下関係で揉まれた人間が多いです。一方、関西を中心に、一部クラブユースではまるでジャニーズ事務所のように先輩を君付けで呼び、タメ口を使う風潮があります。一長一短ありますが、技術的な競争を抜きにすれば、ユースのほうが精神的にゆとりのある環境だと言えそうです」(同上)

 精神的なゆとりの影響が試合で好結果につながれば良いが、ネガティブな傾向が見えなくもない。一概には言えないが、ユース出身者は粘り強さに欠ける傾向が見える。仙台ユース出身の香川が試合で不調のときに顔を曇らせることが多いのはまだ良いほうで、天才と言われた宇佐美貴史や柿谷曜一朗の二人は、海外挑戦に失敗してあえなく帰国した。

 一方、高校サッカー部出身者は、滝川第二高の岡崎や星稜高の本田圭佑、明治大学(東福岡高)の長友、藤枝東高の長谷部など、一時期はヒドい待遇を受けながらも活躍してチームメイトに受け入れられ、各リーグでたくましく生き抜いている選手が少なくない。

「ハリルホジッチ監督が球際での"デュエル(闘い)"の重要性を主張していますが、競争の激しいヨーロッパ圏の選手は、日本の選手より闘争心にあふれ、球際が非常に激しい傾向です。W杯で欧州の選手たちと対峙することを考えたとき、ドイツで長年戦う長谷部には、チームメイトたちの試合に望む姿勢や勝利への執着心にゆるさが見えたのかもしれません」(同上) 

 W杯まで残り2年。9月に始まる最終予選では、チームとして一体になるために、どこかで足並みを揃える必要がありそうだが、日本代表のバス内事情はどう変わっていくのだろうか……?

文・橘カイト(たちばな・かいと)
※1979年島根県生まれ。編集プロダクションを経て、フリーに。週刊誌などで芸能関係の記事を執筆。また、民俗学などにも精通し、日本のタブーにも数多く取材。主な著書に『真相!禁忌都市伝説』(ミリオン出版)ほか多数。
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