『その節約はキケンです――お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか』(風呂内亜矢著、祥伝社)の著者は、これまでに3,000人以上の資産状況をヒアリングしてきたというファイナンシャルプランナー。
そんな立場から、「ダイエットと節約はとてもよく似ている」とユニークな主張をしています。
ダイエットの基本は、口に入れるカロリーより、身体を動かすカロリーを大きくすること。そして節約の基本は、出ていくお金より入ってくるお金を大きくすること。構造が同じだということです。
さらにもうひとつの共通点は「世間の噂話を鵜呑みにするとキケン」だという点。本質を理解しないままダイエットしたら、栄養のバランスが崩れる可能性があります。
節約法も、ネットや新聞で紹介されているやり方を真似するだけだと、かえってお金が貯まらないことがあるというのです。理由は、その方法の本質を見落としてしまうことになるから。
そこで本書では「キケン」という観点から節約術や考え方を捉え、よりよいメソッドを紹介しているわけです。
きょうはそのなかから、「住宅ローンは短く組むとキケン」をご紹介したいと思います。
■住宅ローンは短く組むとキケンな理由
住宅ローンを利用する際には、金利は低く、期間は短く、さらに積極的な繰上げ返済を行えば、総支払額を抑えることが可能。そのため、ローン選定時に借入期間をとにかく短くしようと考える人は少なくないでしょう。
たとえば3,000万円の住宅ローンを年利1.5%で借りる場合、35年間で返済すると総支払い額は約3,858万円。しかし25年間で返済すると、総支払い額は約3,600万円となり、約258万円の差が生まれるわけです。
これだけ違うわけですから、返済期間を短くしたくなるのも当然。でも返済期間を短くしようとすると、当然のことながら月々負担する金額は重くなります。先ほどの例で考えてみましょう。
月々の返済額は35年ローンで約9.2万円ですが、25年ローンだと約12万円。期間が10年短くなる代わりに、毎月の負担は約3万円も増えることになるわけです。