「外国人観光客をさらに呼び込む手段として、自家用車の有効利用を拡大する」
安倍政権が提案しているこの“白タク合法化”案が物議を醸している。ITの活用により自家用車で報酬を得たい一般ドライバーと、簡単に移動したい人とを結び付けるプラットホーム事業者を介在させる方式、いわゆるライドシェア案だ。
タクシー業界は2002年の規制緩和により新規参入が増加、同業との競合が激しさを増した。リーマンショック以降にはタクシーの輸送人員は減少の一途、さらに運賃の値上げや供給過剰地域に対する減車など、再度規制を強化する動きもある。加えて今、世界中を席巻している配車サービス企業、米Uber(ウーバー)社の存在が業界を脅威に陥れている。
今年4月、タクシー大手の日本交通が、東京23区、武蔵野市、三鷹市の営業エリアの初乗り運賃を2キロ730円から約1キロ410円に変更する案を国土交通省に提出。認められれば、来年4月から同エリアの初乗り2キロ未満のタクシー利用は新料金が適用される。
しかし、新料金は長距離料金が数パーセント値上がりする見通しとなっており、子育て世帯や高齢者の短距離利用が期待される一方で「給料日後の週末でさえ長距離客がいなくて困っている。新料金で、より長距離客が減り、収入が一段と減る可能性があるから反対」(都内のタクシードライバー)との声も多い。
「外国人観光客が増え、コミュニケーションの問題も出てきた。ウチでも英会話研修を導入しているが、ドライバー全体の高齢化が進み、正直、語学研修なんて今さらやってられないという人は多い」(同)
ドライバーの高齢化は非常に深刻だ。バスやトラックの平均年齢が47歳であるのに対し、タクシーは58歳と約10歳も高い。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(14年度)によると、タクシー事業における39歳未満の若年層の割合は、たったの4.3%しかいない。
「募集をしても若い人は来ないし、すぐに辞めてしまう」(大手タクシー会社)
勤務時間も長く、平均収入が300万円台と全産業の中でも低いことも若手離れの要因の一つ。ドライバー募集の広告が通年で目に付くのもそのせいだ。
近ごろはタクシーチケットを廃止する企業が増えており、利用者の減少に歯止めがかからない。
タクシー業界震撼 押し寄せる“白タク合法化”の波
2016.06.03 10:00
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