広々とゆとりを持って住みたいなら、なるべく広い家やマンションを選ぶべき――そんな固定観念をくつがえす発想で「小さい家で、ゆとりのある暮らし」を実現している人がいます。
それまで住んでいた部屋の2/3のスペースに、以前と同じゆとりを持って住み、同時に年額100万円以上も住居費をカットしたというのですから驚きです。
『3人子持ち働く母のモノを減らして家事や家計をラクにする方法』(尾崎友吏子著、KADOKAWA)から、その逆転の発想を詳しく見ていきましょう。
■きっかけは90㎡の部屋からの住み替え
著者は、不動産業などを経て、現在は建築業界でパートタイムとして働きながら、夫婦で高校2年、小学6年、小学1年の3人の男の子を育てるママ。
2011年から始めたブログ「cozy-nest 小さく整う暮らし」で、小さく暮らすさまざまなアイデアを紹介してきました。そのアイデアをまとめたのが本書なのです。
じつは著者自身、以前は「家は広ければ広いほどよい」と当たり前のように思っていたといいます。その考えを大きく変え、「小さく暮らす」ことのよさに気づいたきっかけは、それまで住んでいた90㎡の部屋からの住み替えでした。
同じ広さの家は購入費が高くローンが増えてしまうこと、持っているモノをそのまま引っ越し先に持ち込めば、引っ越しの労力や費用もかさんでしまうことに気づき、発想を転換させたのです。
■小さく暮らすほうがメリットは大きい!
不動産業界、建築業界で働いてきた著者が考えたのは“モノの住居費”を算出することでした。
日本の新築マンションの1㎡あたりの平均単価65万円(2015年不動産経済研究所調べ)を基準に考えると、70㎡・3LDKの新築マンションの購入価格は4,550万円。
そのうち家具や収納スペースなど、モノの占有率の目安は1/3。ということは、モノのために1,500万円もの住居費を支払っている計算になります。