「男女平等」が叫ばれてはいるものの、現実的には女性が我慢を強いられる場面がまだまだ多い。
いまの日本の状況についてそう実感しているというのは、『くたびれない離婚 – じっと我慢したまま、もう何年ですか?』(吉成安友著、ワニブックス)の著者。
2007年に弁護士になってから、多くの離婚事件に携わってきたという人物です。
つまり、そのような経験を軸として、「抑圧された結婚生活にくたびれ、離婚を切望しているような女性たちの助けになれば」という思いで書かれたのが本書だというわけです。
きょうはそのなかから、なにかと誤解されることも多い「慰謝料」についての記述に注目してみたいと思います。
■一般的な慰謝料の額は100万円以下
そもそも慰謝料とは、相手方が不貞行為、DV、モラハラなどの不法行為を行ったことによって被った精神的被害に対する賠償。
そして離婚の際の慰謝料には、「不貞行為等によって生じる苦痛の慰謝のためのもの」と「離婚そのものによって生じる精神的苦痛の慰謝のためのもの」があるそうです。
ただし、裁判の場合も、合意によって決める場合も、基本的には両者を区別せず、一括して処理するのが通常だとか。
実際のところ、離婚の訴訟で認められる慰謝料は、それほど高額ではないのだといいます。
よく芸能人の慰謝料が何千万円などというニュースが話題になることがありますが、「そうした報道の多くは、おそらく財産分与と区別がされていないのではないか」というのが著者の見解。
実際、家庭裁判所が公表している2011年の認容件数は次のとおりだとか。
・100万円以下 208件(28.2%)
・200万円以下 196件(26.6%)
・300万円以下 183件(24.8%)
・400万円以下 53件(7.2%)
・500万円以下 60件(8.1%)
・500万円以上 37件(5.0%)
このように100万円以下がいちばん多く、300万円以下が8割。