『極妻』『仁義なき戦い』脚本家 高田宏治氏インタビュー 今だから語れる東映映画製作秘話(3)

| 週刊実話

 −−80年代に入ると『鬼龍院花子の生涯』をはじめ、『陽暉楼』『櫂』と宮尾登美子原作、五社英雄監督で、先生が脚本を手掛ける作品が続きます。どういう流れで始まったんですか?
 「そもそも最初は、先輩の脚本家に断られて僕に話が来たんです。初めて東映本社で五社さんと会ったときは、『お前なんかにわしの相手ができるのか』って態度でね。ところが僕のアイデアを聞き終えたら、抱きついてきて『兄弟!』ってオーバーなのよ(笑)」

 −−流行語になった「なめたらいかんぜよ!」は、どのようにして生まれたんですか?
 「そもそも五社さんの口癖が『俺をなめんなよ』だったの。よく一緒に飲み歩いたけど、飲んでいる間も絶えず言ってた。それで僕が書いたと思い込んでたんだけど、あとで台本を見返したら、五社さんが現場で方言指導の人に『なめんなを高知弁でどう言うんだ』と聞いたらしいね」

 −−主役も夏目雅子さんではなかったんですよね。
 「最初は大竹しのぶさんに交渉したけど断られたみたいだね。それが結果的に良かった。台本を読んだ雅子ちゃんが五社さんのところに行って、『やらせてください』って台本の上に座ったと。これは本当の話みたいですよ」

 −−女優ありきで脚本を書くこともあるんですか?
 「僕の場合は『極妻』がそうだったね。この作品に関しては脚本がガラッと変わった。『極妻』は完全に女が主役だけど、家田荘子さんの原作はそうじゃないのよ。旦那さんの浮気とか金遣いで苦労する女たちの物語で、あくまで極道を裏で支える存在として書かれていた。だけど、岩下志麻さんに交渉して『やってもいいわよ』って答えが返ってきた段階で、女が主役になった。そこで女一人じゃつまらんから姉妹の話にしようと、対抗馬として肉体派のかたせ梨乃さんを出した。最後まで組長が刑務所の中にいる映画なんて、それまでなかったと思うよ。じゃあ男は誰にするかで世良公則さんを持ってきて、彼の迫力が梨乃さんと火花を散らし、要所で五社さんが独特の芝居をつけた。2時間、興奮で一気。あの映画が受けた要素やね」

 −−今回の小説も女性たちのたくましい生き方が鮮明に描かれています。
 「男なんてどんなに金があっても命は一つ、死んだら終いということが分かってないから哀れや。

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