日本では、稀勢の里の活躍などもあり、一時期低迷した相撲人気がすっかり復活しています。
ここで問題です。角界では昭和55年から平成14年の間に亡くなった幕内力士100人の死亡時年齢は平均63歳で、日本人の平均寿命より15年も低い、というデータがあります。職業柄、体重を増やさねばならず、体を大きくするための相撲取りの食生活は寿命を低くする一つの要因と見られていますが、引退したお相撲さんに医師が勧めるのは、ダイエットか酒量を減らすことか、どちらになるでしょうか?
まず相撲取りがなぜ太るかといえば、体重を増やすことで強靭な肉体を築き、番付を上げて一人前の関取になることです。
その生活パターンは朝起きて稽古に励み、腹ペコの状態でちゃんこ鍋を食べます。それもゆっくり食べるのではなく、肉も魚も野菜も入れてかき込み、食後は昼寝。また午後には同じような稽古を繰り返します。これを1日2回繰り返すと、どんな新弟子でも体重は50キロほど増えて、当たり負けしない体へと成長します。
ところが、現役時代はまだしも、引退後ともなると稽古で増やした体重はもはや意味を持たなくなります。つまり、現役時代につけたよけいな体重を減らし、入門前の体形に戻すのが健康を保つ秘訣と言えます。
しかも体重が減ると酒量も自然と減るため、まず取り組むべきはダイエットとなるわけです。
アルコールの適量は体重に左右されるため、体重50キロの人と100キロの人とでは、飲める量も自然と違ってきます。単純に比例するわけではなく、肝臓の大きさなどでも違ってきますが、体重が重いほどお酒の適量も多くなるのは確かなことです。
一説によると、お相撲さんの7割ほどは糖尿病だと言われていますが、糖尿病を悪化させないためにも、引退後はダイエットに取り組むべきなのです。加えて体重が200キロ近くになると、膝や腰に故障を抱えます。
お相撲さんの場合、タニマチとのおつきあいで酒を飲むのも仕事のうち。横綱や大関ともなれば、酒席を共にしてご祝儀がもらえる世界でもあります。