税務調査を複数回受けている会社であればイメージできると思いますが、3年前の税務調査の時に何も問題にならなかった処理について、その後の税務調査で問題にされることがあります。前回は許されたのになぜ今回は許されないのか、といった疑問を持たれる方も多いと思いますが、社会常識の問題は別にして、国税としては全く問題がないと考えています。
■どうしてこんなことが起こるのか?
中小企業の場合、税務調査は2~3日で終わらせるべきものですので、当然ながら調査対象となる期間(原則として3年)の申告内容のすべてを見切れるわけがないと調査官は考えています。このため、過去の調査で問題にしなかったのではなく、チェックできなかった、という話になることが通例なのです。
私の経験を申しますと、あからさまな申告書のミスをしていたにもかかわらず、前回担当した調査官が仕事をしたくない人間だったからか、特に是正の指導がなされない会社がありました。しかし、この税務調査では過去の調査を担当した調査官の責任を問うことなく、3年分まとめて税金を課税しています。
■再調査の制限という改正
このため、過去税務調査で問題にされないからと言って、同じ処理が国税に認められるわけではありません。しかし、以前と比べて、この点かなり納税者有利になっています。
といいますのも、平成25年からスタートした改正により、再調査の制限が導入されたからです。再調査の制限とは、実地の調査(会社などに調査官が臨場してなされる税務調査を言います。)がなされた事業年度については、その実地の調査時には入手できなかった新しい情報が入るなどして、新しい間違いがあることが想定されない限り、再度調査することはできない、というものです。従来は、再調査の制限がなかったため、同じ事業年度を何回も国税が調査することができました。
このため、いったん実地の調査を受ければ、その事業年度については、原則として問題がないというお墨付きが得られることになります。ただし、お墨付きを得られるのは調査対象となった事業年度についてであり、その事業年度において行った処理についてではありません。
「前回許されてても今回はダメ!」ということが起こる税務調査(松嶋洋)
2016.09.05 19:30
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