9月8日、甲子園球場で行われた伝統の巨人対阪神。試合を決めたのは、プロ10年目で初の代打ホームランを放った巨人の主将、坂本勇人だった。
負ければ広島の優勝が決まる試合だっただけに、坂本の代打逆転スリーランはまさに値千金。阪神ファンと広島ファンの悲鳴を集め、巨人ファンの喝采をさらった格好だ。
同日、同時刻。東京のとあるイベント会場では、かつて「代打の神様」と呼ばれた男が集まった野球ファンから喝采を浴びていた。昨年限りで阪神のユニフォームを脱いだ関本賢太郎だ。
元ロッテの里崎智也が部長を務めるオンラインコミュニティ「乾杯! ほろ酔いプロ野球部」主催の人気トークイベント『里崎智也のプロ野球語り呑み』。その第6弾のゲストとして関本が登壇。「代打の神様」にしかわからないプレッシャーなど、代打裏話を語った。
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■本当の神様って誰?
「なんで阪神だけ、『代打の神様』と呼ばれるんですかね?」
議題は里崎の素朴な疑問から始まった。1985年の日本一にも貢献した「浪速の春団治」川藤幸三の時代から始まるとされる、阪神の伝統「代打の神様」の系譜。
以降、真弓明信、八木裕、桧山進次郎らがその名を受け継いできた。そして、2010年代に「代打の神様」と呼ばれたのが関本だった。実際、2012年の開幕戦代打逆転スリーランや2014年の巨人戦で放った代打逆転満塁ホームランなど、ここぞの場面での一振りは今でもファンの間で語り種だ。
「そう呼んでいただけるのはありがたいこと。阪神でよかったなぁと今でも思いますよ」と当時を振り返った関本に、里崎がさらなる疑問を投げかけた。
「で、本当の神様って誰? だって、神様はひとりじゃないですか?」
里崎からの剛球質問に、会場のファンも興味津々。しかし、関本はこの問いにさらっと返答してみせた。
「七福神です!」
会場がこの日一番の爆笑に包まれたのはいうまでもない。
■どうやったら「神様」になれるのか?
昨年限りで引退した関本。では、今年は誰がその名を受け継いだのか?
「狩野(恵輔)がなるはずなんですけど、あいつ、断りよるんです。自分はまだそんな立場にないです、って」と関本が語る。そもそも、「代打の神様」にはどうやったらなれるのだろうか?
「これね、ファンの皆さんに決めていただくんです。『僕、代打の神様やってますー』なんて言ったことないですから。襲名式もないですからね(笑)」
だからこそ、会場を埋めたファンに「次の神様候補、誰がいいですか?」と里崎部長が話を振ると、「関本さんみたいに、任せられる選手がいないんですよ」と声が飛ぶ。
「でも僕も、さすがに毎打席打てるつもりではなかったですよ」と関本が答えると、ファンからこんなコメントが返ってきた。
「違います。結果よりも、“打ってくれそうな気にさせてくれる”。ファンにとっては、それだけでいいんです」