雨が降っていた。スタンドはガラガラだった。
自分の知る秩父宮ラグビー場の光景とは大きく違うけれど、芝の上を仲間と走る充実を感じてプレーした。0-62の大敗も、そこにいられる幸せがあった。
9月24日におこなわれたトップイーストDiv.1の三菱重工相模原×セコム。後半10分頃だった。右タッチライン際を青×白ジャージーの背番号5が疾走した。187cm、111kgと立派な体躯のLO堀卓馬(ほり・たくま)だ。今季からセコムラガッツに加わっている。
昨年まではNECグリーンロケッツのフロントローで、トップリーグが戦いの舞台だった堀にとって、2015年度のシーズンオフは辛いものだった。NECでの3年目を終えたとき、新しいシーズンの構想に入っていないことを伝えられた。まだ25歳。もっともっとラグビーを続けたいのに。
我孫子で過ごした3年は、自分なりに精一杯過ごしたつもりだった。しかし、戦力外宣告を受けた後に自分の歩んできた道を振り返ると、怪我に悩まされた時期があったとはいえ必死さが足りなかった。
「もっとやれた。もっとアピールすればよかった。そう感じました」
だから人を恨むことはなかった。会社に残る選択肢もあったが、まだまだ楕円球を追いたい自分の気持ちに素直になって、その場を求めることにした。
知人の協力を受けて始めた新天地探し。最初に出会ったのがセコムだった。
山賀敦之総監督と会い、話す。その人は、自身がラグビー100%、仕事100%で過ごした現役時代の話を織りまぜながら、ラガッツのいまの環境がどれだけラグビーをやるのに苛酷かを話し続けた。夜勤後に走ることの辛さ。なかなか全員が集まれぬ苦労。やめといた方がいいぞ。そんな言葉が何度も出た。
しかし堀は、そんな話から熱を感じた。その環境の中で楕円球を追っている人たちは、どれだけラグビーを愛しているのだろう。想像が膨らんだ。すぐにお世話になろうと決めた。
トップリーグのチームなら、シーズンが始まれば半日勤務で練習に取り組めるところも少なくない。自身もそんな日々を送ってきた。
いまは違う。池袋で警備の仕事に就いている。19時に始まって翌朝に終わる夜勤が2回続き、翌日は休日。