事務所やマネージャーの目を気にせず、芸能人が本音をぶつける瞬間がある。週刊アサヒ芸能は、そんな僥倖を聞き逃さず、ページに焼き付ける。それが、ここに並んだ珠玉の告白選である。
〈吉永小百合ちゃんのことかい? 僕にとっては、初めて“ラブレターをもらった相手”だから、何といっても印象的な人だよ〉
こう語るのは俳優・中尾彬(74)で、週刊アサヒ芸能75年9月18日号のロングインタビューでのことである。中尾と吉永は日活の専属俳優として、また早稲田大学の同窓として過ごした日々があった。
何とも爽やかな語りに見えるが、実は「血染めのラブレター」というとんでもないシロモノ。
〈オランダロケに彼女が行った時、ナイフかなんかで指を切ったんですよ。流れる血を見ているうちに、それで手紙を書きたくなったから、血で書いたというんだよ〉
世のサユリストたちが驚嘆しそうなスリリングな出来事である。さらに中尾は、吉永のあられもない姿に怒りを覚えたと続ける。
〈彼女の広島のロケ先に立ち寄った時、僕は猛烈に腹を立てた。宿の浴衣の裾もいぎたなく乱して、お銚子を並べ、タバコもスパスパふかしながら酔ってるんだ。「なんだ、その格好は!」って、僕はタバコを投げつけた〉
国民的女優にも“若気の至り”があったのだ。
激しく愛し合いながらも別れた2人が、その10年後、73年11月1日号で劇的な再会を果たした。三國連太郎と太地喜和子である。
三國がホストを務めていた「続・おんな対談」のゲストとして太地が招かれたのだ。
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太地 三國さんは、どうしてあの時、喜和子から逃げ出したんですか。
三國 (長い沈黙)。
太地 聞きたいの。
三國 10年目にして率直に言うけど‥‥あなたの体にひれふすことがイヤだった‥‥そういうことです。