今シーズン、驚異的な強さでリーグ戦を勝ち抜き、悲願の優勝を成し得た広島。その歓喜の輪のなかに、かつて広島の主力としてチームを牽引したあの選手の姿はなかった。
あの選手とは、栗原健太だ。
昨シーズンオフ、栗原は出場機会を求め自由契約となることを選び、楽天に移籍。新天地での復活にかけた。
しかし、広島を飛び出した栗原を待ち受けていたのは辛い現実だった。優勝の歓喜の裏で、かつての主力選手はいかなるシーズンを送ったのか? 栗原の今シーズンを振り返りたい。
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■テスト入団で始まった2015年シーズン
広島を自由契約となった栗原は、楽天の秋季キャンプにテスト生として参加し、入団を勝ち取った。
テストを見守った星野仙一楽天球団副会長にこう言わしめた。
「想像以上だった」
移籍を機に栗原が復活を遂げるのでは!? という期待を膨らませたファンは大勢いたのではないだろうか。
背番号は0。テストからの入団ながら1ケタの番号を用意されたことは、栗原への期待の高さをうかがわせた。
楽天にとって人気、実績を兼ね備えた「地元出身」の栗原の入団は、戦力的にも話題的にも喜ばしいことだったのは間違いないだろう。
■復活をかけたシーズンも、1軍出場ならず
栗原は、春季キャンプを1軍でスタート。順調なスタートを切る。
オープン戦でも11打数4安打1打点、打率.364と結果を出し、手薄な右の代打枠に入るでは? と期待された。しかし、開幕1軍の登録メンバーに栗原の名前はなかった。
ふくらはぎの負傷が判明し、2軍へと降格したのだった。期待が高かっただけに落胆したファンは多かっただろう。
その後、2軍で満塁ホームランを放つなど随所に存在感を見せ、1軍昇格の噂も度々流れた。しかし、栗原の名前が1軍で呼ばれることはなかった。
結局、2軍での成績は打率.188、4本塁打、15打点。数字を見れば、1軍に上がれる状態でないことは明白。移籍しても、かつての打棒は復活しなかった……。
シーズン終了を待たず、栗原は引退を発表。栗原の最後の挑戦はここに終了したのだった。