黄金に輝く鮮やかな黄色!古くからその黄色の染料として活用されてきたのは、「くちなし」の実でした。くちなしは、中国や日本の常緑低木として衣服や食べ物の染料として重宝されてきました。
くちなしは「もの謂わぬ」色という別名もあった!?くちなしの実って見たことありますか?こんなきゅっと結んだようなカタチをしているんです。この姿から口を結んだ「口無し」にかけて、「謂(い)わぬ色」という別名ももっているのです。
新古今和歌集には、若くして退位した上皇が、物言わぬ色の花「くちなし」の色に自分の身の上を重ねて詠んだ歌が遺されています。
九重にあらで 八重咲く山吹の
いはぬ色をば 知る人もなし
円融院 『新古今和歌集』より
(幾重にも重なって咲き誇る山吹の花。この花の魅せるくちなし色の美しさを誰も知ることはないのだなあ)
誰に見られるともなく、黄色一面に美しく咲き誇る花の姿に、俗世を離れた自身の姿を重ねてしみじみと詠んだことでしょう。鮮やかな黄色から「もの謂わぬ」色というイメージが少し意外ですね。