「何をしても許される」国民を裏切り続けた金正恩氏の統治5年

| デイリーNKジャパン
「何をしても許される」国民を裏切り続けた金正恩氏の統治5年

2011年12月17日、金正日総書記は死去した。それから2日後の19日正午、朝鮮中央テレビは「特別放送」行い、世界に向けてこの事実を公表した。各国の諜報機関も知らなかったとされる大ニュースを前に「北朝鮮は崩壊するのか」という議論が高まったのを昨日のように覚えている。

透けて見える蛮勇

あれから5年。後継者となった金正恩氏は、3度の核実験を行い、父の宿願であった核とミサイルの開発にまい進する一方、北朝鮮全土を現地指導する「領導者ぶり」を内外に見せつけている。こんな金正恩氏を、韓国に住む脱北者はどう見ているのか。

韓国の有力紙「東亜日報」で10余年にわたって北朝鮮関連の記事を書き続ける脱北者出身のチュ・ソンハ記者は、自身の運営するブログ「ソウルでつづる平壌の話」に今月15日付で投稿した記事の中で、金正恩時代を「人民の期待を裏切った5年」と表現した。豊富な北朝鮮内部への取材で知られるチュ記者の記事を、以下にまとめてみる。

チュ記者はまず、金正恩氏の変化に注目する。5年前の冬、金正日総書記の葬儀に臨む表情からは「自信というものが感じられなかった」が「顔つきは毎年変わり、今では恐れの感情などを見つけることが難しくなった。逆に過度の自信がもたらす蛮勇と反抗心までもが透けて見える」と指摘する。確かに、父親の葬儀で涙ぐんでいた時のような、幼さすら感じさせる表情は、今は見られない。

「統治は簡単」と錯覚

次いで、金正恩による軍事訓練が度を増している点に注目する。「4,5年前は砲射撃の訓練をしても、一個大隊や連隊程度を動員したものが、最近では数個軍団にまたがる砲数百門を元山(ウォンサン、東海岸の港湾都市)にまで引っ張ってきて、島をめがけて射撃訓練を行うほどになった」として、金正恩氏が軍事を「楽しんでいる」と評している。

さらに、「今月11日にあった『青瓦台(韓国大統領府)』襲撃訓練もこの一環だ」とする。実際の半分ほどの大きさの建物を破壊する姿を見て笑う金正恩氏の姿にチュ記者は驚きを隠さない。「建物の費用だけでも高層ビル一棟分は優にかかっているだろう。普通ならば、これにかかる費用を考えると笑うことはできないはずだ」とつづる。

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