森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 副業はサラリーマンを幸せにするか

| 週刊実話

 政府が働き方改革の一環として、サラリーマンの副業を推進する方向であることが明らかになった。現在、サラリーマンの副業は、厳しく制約されている。およそ4分の3の企業の就業規則に兼業禁止規定が盛り込まれているからだ。
 もちろん、仮に自社の就業規則に兼業規制の項目があったとしても、
 (1)ライバル企業で就業しない。
 (2)勤務時間中に副業をしない。
 (3)居眠りなど兼業の悪影響を本業に及ぼさない。
 という、3条件を同時に満たしている限り、会社の兼業禁止規定に基づく処分は無効だというのが、これまでの判例の大勢だ。だから、現行法の下でも、兼業そのものが違法となる可能性は小さいのだが、やはり就業規則で縛られていると、副業がやりにくいのも事実だ。

 そこで政府は、サラリーマンの兼業を原則として認める指針を作成し、兼業を前提としたモデル就業規則を公表する予定で検討しているという。
 政府の本音としては、今後、労働力人口の減少が確実視されるなかで、副業の解禁によって、少しでも労働力人口の減少に歯止めをかけたいということなのだろう。
 もちろん、こうした施策は、労働力の確保だけでなく、労働者の視野を広げることによって、経済の活性化に結び付くとみられる。ただし、ここで出てくる問題は、副業の解禁が長時間労働に結び付くのではないかという懸念だ。
 政府は、兼業の解禁とともに労働者の長時間労働を防止するための対策を検討する予定だというが、それには無理がある。いままでの仕事に加えて、副業をするのだから、労働時間が増えて当然だからだ。
 ただ、私は長時間労働の懸念があったとしても、副業の解禁には賛成だ。好きな仕事を副業に選ぶことで、長時間労働の弊害は、あまり問題にならないと考えるからだ。

 いまから約30年前、我が家の家計はピンチを迎えていた。バブルの到来を予測して家を買ったのはよいが、当時の年収は300万円で、親子3人の生活を支える手取り月収は、住宅ローンを差し引くと6万円台だった。生活は何とかなったが、同僚の結婚祝いの支払いに窮した私は副業を決意した。それ以来、私はずっと原稿を書いて糊口をしのぐ生活を続けている。

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