[中国のヤバすぎる正体]

歴史問題ではなく経済事情?中国の”アパホテル”批判騒動の真相

中共政府がアパホテルの宿泊に反対しているのは歴史問題ではない? (C)孫向文/大洋図書

 こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。

 2017年1月15日、日本の「アパホテル」に宿泊した中国人・アメリカ人大学生二人が、同ホテルに旧日本軍が大量虐殺を行ったとされる、いわゆる「南京事件」を否定する歴史本が常備されていることを「微博」(中国版Twitter)に投稿しました。

 この件を受け中国のみならず世界各国から非難の声が寄せられ、中共政府はインターネット予約を無効にするなど、国民にアパホテルへの宿泊拒否を呼びかけています。

■歴史よりも利益のほうが大切?

 アパホテル側の発表によると、今回の問題を受け宿泊をキャンセルした中国人は全体の5%程度に過ぎません。しかし、中国の機関TV局「CCTV」(中国中央電視台)は、インタビューにおいてアパホテルへの宿泊を否定する意見を連日報道しており、これがプロパガンダを目的とする「やらせ」であることは明白です。もともと中国人は歴史や思想よりも自分の利益を優先する者が多く、手数料が発生するホテル予約のキャンセルはほとんど行いません。

 僕の意見を述べると、アパホテルの姿勢は反日思想を持つ中国人が日本に滞在しないためのフィルターの役割を果たしていると思います。今回の批判を受けアパホテルは従来の姿勢を改めないと発表しましたが、僕は正しい対応だと思います。

 中共政府がやっきになってアパホテルの宿泊に反対している理由は歴史問題ではないと僕は思います。アパホテル騒動を受け、知日派の重鎮とされる中国の某タレントは「日本には言論の自由があるため、私たちはアパホテル側の主張を阻止できない。しかし、私たちにはこのホテルを選択しない自由もある」という意見を微博に寄せました。一見中立的な意見に見えますが、このタレントは南京事件を肯定するなど反日的な思想を持っており、実際は中国人たちをアパホテルに宿泊しないようにと扇動しています。

 このタレントの意見のみならず、アパホテル騒動から派生した「日本への観光をやめよう!」という意見が中国のSNS上で頻発しています。アパホテル騒動発生直後の1月27日〜2月2日は春節(旧正月)の時期で、中国国内は大型連休シーズンとなります。

 経済発展の影響を受け、近年では多くの中国人が連休に突入すると海外旅行に出かけます。国内では「空城」と呼ばれるこの傾向ですが、そのあおりを受け、中国国内からは多くの外貨が流出します。さらに2016年末から日本企業を含む多くの外国企業が中国からの撤退を進めており、現在の中国は外貨流出に歯止めが効かない状態に陥っています。

 さらに中国人が日本に観光する際、必ず国内の銀行で人民元を両替します。その理由は、現在の中国の銀行の取引額が100円=5.9元程度に対し、日本の銀行や両替店の取引額は100円=6.7元程度です。つまり1万円を両替すれば80元(約1400円)程度の差が発生します。このような中国の状態も外貨流出を助長しています。

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