金正恩氏の「ゴメンなさい」で反省大会の嵐

| デイリーNKジャパン
金正恩氏の「ゴメンなさい」で反省大会の嵐

北朝鮮の金正恩党委員長の異例の「自己批判」が北朝鮮全土で面倒なことを引き起こしている。

金正恩氏は今年1月1日、その年の施策方針を示す「新年の辞」で自己批判らしき物言いで殊勝な一面を見せた。これには昨年7月に韓国に亡命したテ・ヨンホ元駐英北朝鮮公使も「北朝鮮に身を置いて生きてきた私も本当に驚く」と述べたという。

処刑前の動画を公開

一方、韓国の情報機関、国家情報院傘下の国家安保戦略研究院は、自己批判の裏には自身が率先して自責しながら、幹部の自己批判を誘導し、大々的な粛清と世代交代を推進していくつもりだという狡猾な狙いが込められていると分析している。

そもそも、金正恩氏は幹部に対するほんの小さなミスを許さず、極めて些細な理由で粛清・処刑を行ってきた。一昨年、スッポン養殖工場を現地指導した際は、管理不行き届きに激怒し、その後支配人を銃殺させた。それだけでなく、そのときの様子を動画で公開しながら、幹部や一般庶民に恐怖心を植え付けた。

そんな金正恩氏が、本心から自己批判するとは到底思えない。そして、余計な一言を受けて北朝鮮全土では、「元帥様(金正恩氏)にご迷惑とご心配をおかけしたのは私のせいです」など、厳しい自己批判を強いる流れ、いわば「反省大会」が起きているのだ。

北朝鮮の対外向けプロパガンダサイト「メアリ」は、「茂山(ムサン)郡住民すべてが自責の涙を流しました」と題した記事で、「悪いのは元帥様ではなく自分だ」と自分を責める咸鏡北道(ハムギョンブクト)の茂山の住民の声を伝える。

同郡の人民委員会(郡庁)のキム・チュンソン副委員長は、「われわれは元帥様をまごころで仕えると言っていたが、言うだけで、党の構想と意図を貫徹するための闘争において、我が身をロウソクのように燃やしたのだろうか。いや、できなかったことを告白する」と反省の弁を述べ、「新年の辞貫徹のために戦闘的に働く」と固く誓ったという。

「ブタ」呼ばわり

また、昨年8月末の大洪水で被災したリ・オクシムさん(58歳)は、「自らを責められる敬愛する元帥様のお姿を思い起こし泣きました。

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