PPAPで明るみになった「商標ビジネス」とはどういうやり口か?

| まいじつ
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ピコ太郎の大ヒット曲『PPAP』のタイトルやフレーズ“ペンパイナッポーアッポーペン”などが、大阪府内の無関係の企業により昨秋、特許庁に商標出願されていたことが明らかになった。

PPAPを出願したのは、ベストライセンス株式会社の上田育弘氏。今回の件に関して、各メディアのインタビューに「私が出願していますので、それを無視して事業を進めたら、今後商標権侵害になる可能性があります」など、強気な発言していたことでも話題になった。

上田氏はかねてより、知的財産関係者のあいだでは有名な人物だった。日本全体の商標出願が年間10万件程なのに対し、上田氏は3年ほど前からひとりで年間1万件以上の商標出願を繰り返していた。2016年7月時点で、同年の商標登録出願数を見ると、1位がベストライセンス株式会社(8682件)、2位に上田育弘(3041件)となっていて、3位の株式会社サンリオの526件を大きく引き離している。このことからも上田氏がどれだけ商標出願を行っていたかが分かる。

過去には、PPAP以外にも、『STAP細胞はあります』、『あまちゃん』、『じぇじぇ』、『民進党』など、政党名から流行語に至るまで、さまざまな商標出願をしている。しかし、商標の審査には1件に最低でも1万2000円の手数料が必要なのだが、上田氏はこの手数料をほぼ払っていない。完全に“人のふんどしで相撲を取っている”ということになるのだが、実際にこのような商標ビジネスは成り立つのだろうか。

「注目を集めるPPAPだからこそ、今回広く明るみになった事案ですが、すでに特許庁は昨年5月に注意喚起する内容を発表しています。そこでは《最近、一部の出願人の方から他人の商標の先取りとなるような出願などの商標登録出願が大量に行われています。しかも、これらのほとんどが出願手数料の支払いのない手続上の瑕疵のある出願となっています。》と、明らかに上田氏のことを指しています。

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