日本も含め、東アジアで行われる火葬、特に近代になる前に行われた火葬は、仏教信仰に由来すると一般的にいわれている。しかし、これまた日本も含めてであるが、東アジア諸地域で古くから行われた火葬は、実は必ずしも仏教と関係があるとはいえないのである。また、今回は割愛するが、仏教を深く信仰した人物が、火葬を否定的に捉えていたケースも、実は少なくない。
■釈迦が火葬されたことが仏教式火葬の始まり
そもそも仏教信仰に基づく火葬は、古代のインドに始まるとされる。仏教の開祖ゴータマ・シッダールタ(釈迦)が亡くなった際、彼の遺体が火葬されたことが「仏教式火葬」の始めとされる。
そして、その「仏教式火葬」を、インドから中国に伝えたのは、唐王朝初期の僧侶でインドに渡った、『西遊記』の三蔵法師のモデルである玄奘だとされている。ただ、そもそも釈迦が火葬されたことも、歴史的に見れば、当時のインドで一般的であった習慣に従ったに過ぎないのではないか、という説もある。
■仏教を中国に伝えたとされている玄奘は、彼自身が火葬されていなかった
また、「玄奘が中国に火葬のしきたりを伝えた」という話も、実際には余り正確とは言い難い点がある。玄奘は唐に帰国後、インドへの道中やインドでの見聞を記録した『大唐西域記』を書き、時の皇帝に提出した。
その中で、彼は火葬を意味する「荼毘」の語源となった言葉を紹介し、遺体を焼くことである、というような説明を付けている。このことが、「玄奘が火葬のしきたりを中国に伝えた」という説の、根拠とされているようだ。
しかし、玄奘が664年に亡くなった際には、彼は火葬されなかったし、そもそも火葬を希望すらしていなかった。このことを考えても、玄奘が『大唐西域記』に、「亡くなった人を焼くしきたり」について書いたことが、即「インドから“仏教式火葬”を伝えた」ということでは、ないようである。つまり、「玄奘が火葬を中国に伝えた」というのは、あくまで一種の「神話」であると考えた方が、良さそうである。
■日本で初めて仏教式火葬された道昭ではあるが…
ところで、日本で初めて「仏教式火葬」をされた人物としては、飛鳥時代末期の僧侶の道昭が有名である。
仏教を由来としている「火葬」だが、必ずしもそうとはいいきれないという話
2017.02.10 20:00
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