ヤマト運輸が27年ぶりの値上げに向けた検討に入った。ネット通販の荷物が増えて、パンク状態になったためだという。
ヤマト運輸は、これまでサービス残業になっていた過去の超過勤務分を含めて、セールスドライバーに残業手当を支払う見通しだ。それに伴って、再配達が有料化されたり、一般消費者向けの宅急便料金も引き上げられる可能性が高いという。
しかし、どこかおかしくないだろうか。
一般に電力やガス、郵便など、ネットワーク型の産業の場合、固定費が大きなウエイトを占めるから、取扱い数量が増えれば、たとえ残業代を支払ったとしても平均コストは下がるはずだ。
だから、取扱い数量の拡大にともなって値下げになってもよいはずだ。それがなぜ、値上げという話になるのか。
その理由は、ヤマト運輸の決算報告を見ると明らかになる。実は、宅急便の単価が大きく下がっているのだ。昨年10〜12月期の宅急便の単価は、前年比で3.6%も下がっている。単価の下落は、ほぼ2年続いている。
では、なぜ単価が下落するのか。それは、通販業者などの大口利用客の料金が、自由競争で決まっていて、それが相当安いからだ。
ヤマトホールディングスの資料で見ても、宅急便の平均単価は563円にすぎない。個人が宅急便を出すと、大体1000円程度取られるが、平均単価はその半分だ。ということは、大口利用客の単価は相当安いということになる。実際、ネット通販のアマゾンが払っている平均単価は300円という報道もある。
さらに、ポスト投函タイプのクロネコDM便というものがある。3辺の合計が60センチ以内、厚さ2センチ以内といった制限があるが、ネット通販でもしばしば利用されている。このDM便は、個人は利用できないから、法人や個人事業主だけが利用している。このDM便の平均単価は、56円なのだ。安過ぎると感じないだろうか。
こうした安値の背景にあるのが、通販業者の送料無料サービスだ。例えば、アマゾンでは2000円以上の注文は、送料が無料になる。さらに年間3900円を支払ってプライム会員になると、対象商品の送料が何回でも無料になるほか、配達の日時指定やお急ぎ便の料金も無料になる。
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 ヤマト運輸値上げの真因
2017.03.28 10:00
|
週刊実話
ピックアップ PR
ランキング
総合
社会
1
中小企業の融資はなぜ難しいのか 銀行が見る「数字」と事業計画の落とし穴
TREND NEWS CASTER
2
不登校35万人超、学校だけで支えきれるのか 広がる「学校外支援」の役割と課題
TREND NEWS CASTER
3
中小企業経営者はなぜ「雑務」から抜け出せないのか 外部人材とAI活用の現在地
TREND NEWS CASTER
4
建築設計はなぜ複雑化しているのか 構造・設備・人材不足から考える業界の課題
TREND NEWS CASTER
5
「日本初の修学旅行」があまりにも過酷すぎた件 千葉・銚子駅前に佇む石碑が語る、驚きの内容
Jタウンネット
6
年間150万トン「もみ殻」は宝の山になるのか 農家を悩ます“厄介者”を資源に変える挑戦
TREND NEWS CASTER
7
これが新幹線駅、だと? まるで〝秘密基地〟...珍しすぎる「駅の入り口」に驚がく
Jタウンネット
8
若者たちにはわからない? 駅に掲示されてた〝書道〟の内容に3万人注目...40代以上は「歌わずに読めない」
Jタウンネット
9
心の汚れたオトナには、アレに見えちゃう 浜松「竜ヶ岩洞」で激写された〝珍形〟鍾乳石に5.1万人興奮
Jタウンネット
10
横浜・みなとみらいに新たなシンボル爆誕→除幕式には〝ご本人〟も登場! 記念スタンプラリーでゆかりの地巡ろう【8/17~9/30】
Jタウンネット