こんにちは、中国人漫画家の孫向文です。
ここ数年、ハリウッド映画の舞台に中国の都市が使用されたり、中国人俳優が出演する例が多々あります。おそらく、中国市場での莫大な収益を狙っているためでしょうが、僕は企業が中国に依存することを推奨しません。
■世界で頻発する中国企業のドタキャン
2010年に経営破綻したアメリカの映画製作会社「MGM」は、2017年度に中国企業に買収され存続する予定でしたが、中国側の対外投資の取り締まり強化を理由に計画は頓挫しました。MGM側からすれば非常に迷惑な話ですが、中国企業による「ドタキャン行為」は日本でも頻発しています。今回は僕が知る3つの実例を紹介します。
中国東北部に所在する某大学は、政府出資による漫画学科創設を名目に日本人漫画家を講師として募集しました。A氏もその一人で、中国政府から十分な出資があり、報酬が日本円にして日給1万円程度、学校内に宿泊施設が存在するなど高待遇という触れ込みだったため、彼は50人程度の漫画家仲間に声をかけました。
そしてビジネス会議を名目に中国の大学関係者が訪日することが決定し、宿泊場所は新宿の高級ホテルが予定されました。A氏も会議に応じるためにホテルを予約し、経費は自分のスタジオから出資したのですが、会議終了から1ヶ月ほど経過しても連絡がなかったそうです。
しびれをきらしたA氏が中国の大学に連絡したところ、「企画がキャンセルになった」という返答があったそうです。結局A氏は無駄な経費を使ったばかりか、漫画家仲間の信用を失う羽目になったのです。
こちらも漫画家の事例になりますが、僕の知人のO氏は、中国の出版社から自作を電子書籍化して中国で売り出すというオファーを受けました。しかし、O氏の作品は暴力や流血シーンが多く、中国の検閲を通過するのは不可能だと僕は疑問に思いました。
その後、出版社から銀座にスタジオを設け、日本と中国の漫画家が合作して日中をテーマにした漫画を作る計画を持ちかけられました。ですが、「暗殺教室」(集英社)などを手がけた日本の人気漫画家・松井優征氏が新宿にスタジオを設立したという話を知っていた僕は、無名の中国人漫画家グループがいきなりスタジオを、しかも新宿より地価が高い銀座に設立するという話を聞いて、当初から胡散臭さを感じていました。
O氏は自作が中国に進出することを光栄に思い、中国の規制対策として漫画の過激な場面の修正を行ったのですが、出版社からの連絡は突如途切れてしまいました。
また、Sという日本人映画監督は、ある中国の芸能プロダクションから日中合同で映画を作成しようというオファーを受けました。企画書によると日中の有名俳優・女優が大勢出演することが予定された派手な作品で、S氏は大変乗り気になり、知人の脚本家にプロット修正を依頼し、役者陣のキャスティングを行いました。ですが、企画書が送られたきり中国の芸能事務所から連絡はありませんでした。