秋津壽男“どっち?”の健康学「温泉に行くことで疲れは取れるのか?非日常に身を置く“転地療法”の効能」

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秋津壽男“どっち?”の健康学「温泉に行くことで疲れは取れるのか?非日常に身を置く“転地療法”の効能」

「最近、体が不調気味です。ゴールデンウイークはのんびりと温泉に行くか、家でゆっくりするか、どちらがいいですか?」

 読者の方からこんな質問をいただきました。ゴールデンウイークの温泉地は混雑しているでしょうが、混雑という二文字を除いて考えれば、答えは明白です。「家でのんびりする」のと「湯治へ行く」のとを比べた場合、リフレッシュ効果を考えると後者が断然上です。「湯で治す」と書くとおり、温泉療法には効果があることがわかっています。「湯」のことだけを考えた場合、例えば「草津の湯の花」のような「ご家庭で気軽に温泉気分」をうたっている「温泉の源」を買ってきて家のお風呂に入れても、ことは同じです。

 あるいは、温泉地の源泉を運んできてつかれば、もっと温泉気分に近づけるでしょう。

 ひと言に「温泉の効能」と言っても、泉質によりさまざまで、医学的に証明されていないケースが多いのです。

 例えばナトリウム泉は、湯に塩が混ざっているだけで、塩分の殺菌効果は期待できても、体にいいかどうかは計りかねます。皮膚がツルツルになるとされるアルカリ泉は、確かにそのとおりの効能があります。同じく炭酸泉の「体が温まる」という効果もそのとおりでしょう。「リウマチやガンなど万病に効く」とされるラジウム泉(放射能泉)は「もしかすると‥‥」という感じもあります。

 その他、「高血糖や動脈硬化、高血圧に効く」とされる硫黄泉や「貧血、更年期障害に効く」含鉄泉など、持病のある方は効能を調べて「ダメもと」で湯治するのも一つの手ですが、いずれの泉質も、お湯の中にある「薬効成分」は微々たるものです。

 ヨーロッパなどのテルメセラピーでは、コップを持たされて「お湯を飲む」という治療を行います。これは体内に入るので効果もありますが、日本の温泉のように、お湯に浸るだけでエキスが体内にしみこむわけがないのです。

 では、温泉の何が効果的なのでしょう。答えは「転地療法」です。日常から離れることが温泉における最大の効能です。

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