秋津壽男“どっち?”の健康学「温泉に行くことで疲れは取れるのか?非日常に身を置く“転地療法”の効能」 (2/2ページ)
豪邸に温泉並みの浴室を作り、そこに温泉地のお湯を入れたとしても、地方の小さな温泉で浸る効能のほうがはるかに上です。
仕事や家庭、育児、人づきあいなどの日常から離れて「非日常になる」ことが、ストレスを解消させて体力を回復させるポイントとなります。
温泉地の食事は宿によりばらつきがあります。下手をすると、近所のおいしい店やこじゃれた料亭のほうがおいしさは上でしょうが、温泉地の食事の利点は「上げ膳据え膳」。
大しておいしくもない料理であろうと、お湯に浸ってお酒を飲み、食事の支度をしないで済むことが女性にとって「非日常気分」を増加させ、一番の効能となるわけです。
奥さんとうまくいってない時、一緒に温泉に行くと夫婦仲はよくなります。いつものように食事の用意をせず、お風呂の掃除もしなくて済むのが「心の安定」を生み出すわけです。湯治とは、こうした環境の変化が最大の効能となります。温泉の素を買ってきて自宅の湯に入れても、こうはいかないとご理解いただけるでしょう。
おいしい料理を食べて太ってしまうこと、酒を飲みすぎてひっくり返る、お湯につかりすぎてのぼせる、などの欠点を除くと「温泉でゆっくりする」ことは、非常に効能があるのです。たまにはボケーっとして体をリセットしてください。
■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。