80代からが人生の黄金期だ「田原総一朗」(4)「好奇心」が僕の原動力

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80代からが人生の黄金期だ「田原総一朗」(4)「好奇心」が僕の原動力

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 食事には興味を持たぬ田原さんが、一つだけ大事にしていること。それは、毎日いろんな人たちと会うことだという。

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 家で本を読んだり、原稿を書いている時以外は、たいてい人と会っています。その理由をひと言で言えば、「好奇心」。これが僕の原動力なんです。人と会う時はいつも、「この人は何をしているのだろう」「何を考えているのだろう」ということを知りたくてたまらなくなります。やっぱり、人っていうのはおもしろいですよ。

 僕はどちらかというと、世の中から顰蹙を買っている人と会うのが好きなんです。ロッキード事件の田中角栄さん、リクルート事件の江副浩正さん、先頃公民権を回復した鈴木宗男さん、ライブドア事件の堀江貴文さんなどです。

 彼らに共通するのは、裁判の結果はともかくとして、冤罪の可能性が拭いきれないということです。

 僕は、田中さんも江副さんも冤罪だと思っています。彼らの事件の背景には「悪いヤツはやっつけろ」「誰が悪いヤツかは俺たちが決める」「徹底的にやっつけるためには何をしてもよい」という、検察や警察の「正義感」があったような気がしてならない。このような価値観は、とても危ないものだと思いますね。

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「朝まで生テレビ!」が人気を呼んだのも、映画監督の大島渚、作家の野坂昭如といった政治的スタンスの異なる出演者たちが、真剣かつ本気で討論をしてくれたからだという。同世代の彼らが鬼籍に入った今、田原さんは寂しさと同時に危機感を感じている。

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 その危機とは、集団的自衛権の行使容認や憲法改正論議の高まりなど、日本を戦争のできる国にしようという動きが進んでいることです。

 僕の年代というのは、戦争を知っている最後の世代です。僕は小学校5年の夏休みに終戦を迎えました。1学期まで、校長や担任から「この戦争は、欧米の植民地となっているアジア諸国を独立させる正義の戦争だ。キミらも早く大人になって、この戦争に参加しろ」と教えられました。

 それが2学期になると、同じ先生が「あの戦争は侵略戦争だった」と、言うことをガラッと変えていた。

 新聞もそうです。1学期までは英雄として書かれていた東条英機さんが戦争犯罪人となった。

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