恥かかないように作法を意識しすぎて空虚な焼香になってしまっては本末転倒

| 心に残る家族葬
恥かかないように作法を意識しすぎて空虚な焼香になってしまっては本末転倒

お通夜やお葬式に参列して、気になるのが焼香の作法です。どこで何回お辞儀をすればいいのだろう。抹香をつまんで押しいただくのはするべきなのだろうか。焼香は何回するのが正しいのだろう。最近参列した二つの葬儀での私の体験をご紹介します。

■浄土真宗のお葬式での焼香

一つは浄土真宗のお葬式でした。関東ではあまり多くないと思います。葬儀式場での通夜、告別式で、開式前に式場の係りの人が、作法について説明してくれました。浄土真宗では、お香を押しいただくことはせず、焼香は1回のみとのことでした。

喪主、遺族が作法に則って焼香した後、参列者もそれに倣って1回の焼香をしていましたが、終わりが近づくにつれて、遅れて到着し、係りの説明を聞いていない方の順番が回ってきました。通常焼香は3回のことが多いと思います。その方は、前の方が1回するのを見てはいたのかもしれませんが、1回では少ないと感じられたのでしょうか、押しいただいて3回の焼香をされました。その後に続く方はほとんどが3回されていたようです。

これは、失礼なことなのでしょうか。そんなことはありません。忙しい中、遅れてでも駆けつけたことが、何よりもその方の心を表しており、焼香の回数が作法にかなっているかどうかは大きな問題ではありません。その方は本当に悲しそうな様子で、見ている参列者も新たに涙を誘われました。それに続いた方も、心のこもった焼香をされていました。

■日蓮宗のお葬式での焼香

もう一つは日蓮宗のお葬式でした。やはり式場での通夜・葬儀で、故人はもと公務員、定年後も5年前に癌を患うまで仕事を続け、その傍ら地域のボランティア活動にも精を出しました。趣味も多彩で、故人の人柄を物語るように、たくさんの方が通夜に訪れました。式場に入りきらないほどの人で、焼香は誰もが押しいただいて3回し、かなりの時間がかかりました。

翌日の告別式の初めに、葬儀場の係りの人が言いました。「本日は大変多くの方がご参列くださっています。お焼香は、心を込めて1回にしていただきますようお願い申し上げます。」あまり時間がかかりすぎるのは、その後の予定にも差支えますし、年配の参列者や小さい子供には負担になります。

ピックアップ PR 
ランキング
総合
カルチャー