妖怪の中にも悪さをしないヤツがいるんです
妖怪というと、人を驚かしたり危害を加えるものもいますが、中にはそうでないものもいるようです。
山梨の妖怪、覚(さとり)は人の心を読み、次々と考えていることを言い当てます。毛むくじゃらで猿のような姿ですが、人の敵意を感じると逃げてしまうので、攻撃的ではないようですね。
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より「覚」(さとり)
主に山形に棲息した天邪鬼(あまのじゃく)は、害はないけれど人の意に逆らったり口真似や物真似をして、人のことをからかいます。小さな鬼の姿をしているそう。転じて現代では、人の言うことやることにわざと逆らう、ひねくれ者の意味としても使われます。
名前から見た目が想像できない妖怪たちアイヌ伝承のイペカリオヤシは、食べ物をねだる妖怪です。木の根元に座ってお弁当を食べていると、後ろから手だけ出して食べ物をねだるのが特徴。一度与えてしまうと「もっともっと」とずっとねだってくるので、焼けた炭を手にのせれば慌てて逃げていくそう。
年に一度だけ現れる妖怪もおり、姫路城の天守閣に住む女神といわれる長壁もそうです。年に一度、城主の前に姿を現して、城の運命を告げるとか。こうもりを召使いにして、12単衣姿の美女の姿という説もあれば、老婆の姿という説も。ミステリアスですね。