企業や営業マンから、「顧客志向」という言葉を聞いたとき、モヤっとしたものを感じたことがないだろうか。
◆「顧客志向」の裏にある企業利益を、消費者は見透かしている顧客志向という言葉は、セールスや広告とセットで目にすることが多い。 しかし、顧客志向かどうかは消費者が判断するもの。企業側から「顧客志向」が叫ばれれば、消費者側はその裏にある「企業利益」のためのパフォーマンスなのではないだろうかと懐疑してしまうこともあるだろう。
企業が利益を追求するのは当然だが、「顧客志向」をアピールすることで自社サービスを売込もうとしても、消費者は意外と冷静だったりする。
本当の「顧客志向」とはなんだろうか?
◆究極の顧客志向に辿り着いた伝説の営業マン顧客志向を語るならば、徹底的に突き詰めて行動し、大きな成果を上げたプルデンシャル生命の伝説の営業マン・甲州賢氏の名を出さないわけにはいかない。2009年に急逝しているが、没後も多くの営業マンから尊敬され、氏のセールス道を指針としている人も多いという。
そして、甲州氏と時をともにした有志によって氏が築いてきたセールス道がまとめられたのが『プロフェッショナルセールスマン ― 「伝説の営業」と呼ばれた男の壮絶顧客志向』(神谷竜太著、プレジデント社刊)だ。
甲州氏は、お客さまの利益のために考えうるあらゆることを一貫して行い、商品ではなく自分を売込み、信頼関係を築いていった。そのいくつかを紹介しよう。
◆1日5回も留守電メッセージを入れ直す「はい、甲州です。お電話ありがとうございます。×時まで商談中のため、電話に出られません。×時にこちらから、おかけ直しいたします」
これは、甲州氏の携帯電話の留守録応答メッセージだ。
「保険の営業マンと連絡が付かないとお客さまは不安になる」そんな思いから甲州氏は、商談に入る度に応答メッセージを入れ直すのだ。