――どうしてそうなった? という動物の“ざんねん”はなぜ生まれるのですか?
今泉 進化は逆行しないという法則があります。何十万、何百万年もの間に環境に適応したもの、つまり特化したものが生き残るということが進化なのですが、環境というものは永遠に安定したものではなく、突如、ガラッと変わることがあります。
すると環境に適応していたものは特化したことが邪魔になり、新しい環境では残念ながら滅びるしかありません。進化は一方通行だからこそ“ざんねん”が生まれるわけですね。
――同じように、人間にも“ざんねん”な特徴というのがあるのでしょうか?
今泉 人間は森から出て草原での生活に適応するために、直立2足歩行するようになりました。しかし、立ち上がった結果、いろいろな部分に“ざんねん”が現れています。例えば、腰痛、胃下垂、脚のむくみなどは重力に逆らい、立ち上がったことで起こる病気です。これは進化の途中で発展し、自然淘汰を受けなくなったから生まれたものなんですね。進化は環境へ適応したものが生き残った結果であると言いましたが、これは自然淘汰が働くからです。
裏を返せば人間は自然淘汰を受けなくなり、環境に適応できなかったものでも消滅することがなくなったとも言えるでしょう。野生動物は、腰痛や脚がむくむなどの欠点をもっていたらうまく生きてはいけませんよね。動物の中でも人間と家畜は自然淘汰を受けないのです。
――今泉さんのお気に入りの“ざんねん”な動物を教えてください。
今泉 いろいろありますが、1905年の記録を最後に絶滅したとされている「ニホンオオカミ」です。ニホンオオカミは、ユーラシアや北アメリカにいるハイイロオオカミとは異なる原始的なオオカミで、ジャッカルに近いものだと考えています。最近、中国の北京原人が発見された周口店の近くから40万年ほど前の小形のオオカミの化石が発見され「シュウコウテンオオカミ」と名付けられました。発見した学者は、これが元になって、ジャッカルやアメリカアカオオカミ、ハイイロオオカミ、野生イヌなどが誕生したと言っています。
40万年ほど前というのは日本列島の固有の動物相が出来始めた頃です。ひょっとすると、ニホンオオカミはシュウコウテンオオカミ一派の生き残りだったのではないかと思うと、もはや確かめようがなくなってしまったその絶滅が、動物の特徴とは別の意味で“ざんねん”でならないのです。
(聞き手/程原ケン)
今泉忠明(いまいずみ・ただあき)
1944年東京都生まれ。東京水産大学(現・東京海洋大学)卒業。国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。上野動物園の動物解説員を経て『ねこの博物館』館長。
話題の1冊 著者インタビュー 今泉忠明 『おもしろい! 進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典』 高橋書店 900円(本体価格)
2017.09.24 18:00
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