テリー やっぱり将棋は、子供の頃からお好きだったんですか?
加藤 小学校4年の時に、家で購読していた朝日新聞の順位戦(名人戦の予選)の観戦記を読んでいたら、「Aという棋士が、よい攻め方をした。それに対してBの先生によると、やはり奥歯の治療をすると小脳の働きが止まることがあるそうです。何だか、お墨付きをもらった気分です(笑)。という棋士は、よい受け方がなかった」と書かれていました。それならば、ずっといい手を指していけば勝てるのが将棋だ、と悟りまして、その瞬間になぜかプロ棋士になれるような気がしたんです。「この世界が私の世界だ」、と。
テリー 10歳でそこまで悟りましたか! さすがですね。その時、すでに将棋は強かったんですか?
加藤 5歳の頃に友達と将棋を指していましたけど、1回も負けていません。そこから小学校4年の時まで将棋をしていないんです。駒も一切触っていなくて。
テリー それはまた何で?
加藤 相手がいなかったんです
テリー すごいなァ。強すぎて、みんな加藤九段とやりたがらなかったんだ。
加藤 小学4年の時に、個人のお宅で将棋好きが集まるところがありまして、今度はそこで大人の人たちを相手に将棋を指すことになりました。さすがに大人には強い人がおりまして、4年の夏休み40日間、毎日将棋を指しました。そうしたら、そこにいる数人の大人たちを全部負かすようになりました。
テリー じゃあ10歳で大人と渡り合って、自信がついて、これは将来、将棋の道でやっていけるんじゃないかと思われたんですね。しかし、何で最初からそんなに強かったんですかね?
加藤 それは自分でもわかりません。それまで特に将棋の勉強はしたことありませんでしたが、強かったんです。