天才テリー伊藤対談「加藤一二三」(2)升田八段が小6の才能を認めたの!? (2/2ページ)
テリー やっぱり天才は違うんですね。
加藤 そして小学6年生の頃に、大阪の将棋会館で、板谷四郎八段という方に将棋を教わっていたんです。そうすると、それが終わった時に当時の升田幸三八段──のちに名人になった巨匠が側におられて。
テリー ああ、髪の毛がクシャッとして長くて、カッコいい方でしたよね。
加藤 そうです、その方が私のことを「この子、凡ならず」とおっしゃいました。子供の将棋を1回見ただけで、そのような言葉を発する人はやっぱり天才ですよね。もし升田先生以外だったら、そういった言葉も出なかったと思うし、「なかなか強い子供がいるな」くらいの扱いだったかもしれません。でも、升田先生がそういう言葉をかけてくださったことによって、私自身、大変な励みになりました。
テリー それは何よりの自信になりますよね。
加藤 さらにうれしいことに、升田八段と将棋を指す機会を何度もいただくことになりました。当時、私はまだ初段ぐらいだったと思うんですけども、八段と初段が平手(対等の条件)で戦うということはまずありえない。普通だったら、「飛車香落ち」くらいが正当な手合いなんですけど、升田先生はいつも平手で指してくれたので、貴重な経験になりました。
テリー 互角の相手として認めてくれたんですね。
加藤 のちに升田先生、大山名人とも戦うことになりますけども、それを大きな壁と感じることはなかったのは、升田先生に子供の頃からそのように相手していただいたからです。実に貴重な経験をさせていただいたと思います。