中性子星の衝突により5度目の重力波を検出、発生源を初めてピンポイントで特定

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中性子星の衝突により5度目の重力波を検出、発生源を初めてピンポイントで特定

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 史上初めて、科学者は衝突する2つの中性子星の姿を写真におさめることに成功したそうだ。1億3000万光年先で起きたこの現象は「GW170817」と呼ばれている。

 それもすべて重力波天文学のおかげである。この天文学の一分野の専門家によって同現象が検出され、観測すべき場所が特定された。ゆえに光と重力波で同時に観測された初の事例でもある。

 この発見は重力波の5度目となる検出だ。それだけでも素晴らしいことであるが、特筆すべきは重力波の発生源を初めてピンポイントで特定できたことだ。

・重力波検出器の増設と中性子星の衝突が重なる好条件
 以前の4度にわたる検出は、連星ブラックホールの衝突(あるいは融合)で放たれた重力波を捉えたものだった。それがピンポイントで観測できなかった理由は主に2つある。

 まず今年の初めまで検出器が2ヶ所にしかなかった。米ルイジアナ州リビングストンとワシントン州ハンフォードのLIGO(レーザー干渉計重力波天文台)だ。このため3番目の発見までは空のかなり広い範囲までしか特定できなかった。

 しかし、そこへイタリアのVirgo加わり、位置を特定する精度が10倍に向上した。何しろ4回目の検出からほんの数週間しか経っていない。

 2つめの理由は、ブラックホールが本質的に見えないということだ。あらゆる光を吸収するため、周囲の空間の変化からその存在を推測することしかできない。一方、中性子星はよく見える。ゆえに中性子星同士の衝突は待ちに待たれたイベントであった。
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