【日本人が知らないニッポン】正倉院展が伝える「交易大国日本」

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【日本人が知らないニッポン】正倉院展が伝える「交易大国日本」

毎年10月末から11月半ば頃にかけて行われる、正倉院展。今年2017年は10月28日~11月13日までの開催です。

この展示会は、我が国日本が極めて国際色豊かな国であるということを教えてくれます。

そう書くと意外に思われるかもしれません。確かに、日本は対外交易の相手先をたった数ヶ国に限定するという時代もありました。しかし日本は広大な領海を持った海洋国家であるということは、今も昔も変わりません。我々の先祖は、海の向こうからやって来る異国の文化を積極的に受け入れていました。

では正倉院展に出陳されるものは、日本人にとってどのような意味を持つのでしょうか。

・ペルシャの文化が日本にも

8世紀は「中央アジアの時代」です。

この頃の中国は唐王朝全盛期で、その勢力は中央アジアにも拡大していました。一方で中東はウマイヤ朝からアッバース朝に転換する頃で、力を持ったイスラム商人がやはり中央アジアを目指しました。

東西の文明圏が接点を持つのは自然の成り行きで、その影響は遥か東方の国日本にも伝達します。シルクロードは、まるで電線のようなものです。電線が敷かれている以上、隅々にまで電力が行き渡ります。

今年の正倉院展で出陳された羊木臈纈屏風(ひつじきろうけちのびょうぶ)は、絹にロウケツ染めを施した絵画作品です。ここで描かれている羊は、ウズベキスタンの遺跡にある羊と様式が極めてよく似ています。サーサーン朝ペルシャが存在した頃にその交易を担っていたソグド人が、絵画の様式を東方に伝えたのではないかと言われています。

こうした物品が出土という形でなく、代々保存管理された結果、非常に良好な状態で現代に至っているのです。

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