「遺骨の意図的な置き去り」に見る現代日本人の死生観の変化

| 心に残る家族葬
「遺骨の意図的な置き去り」に見る現代日本人の死生観の変化

乗り合わせた電車の網棚に、あるいはコインロッカーの中に、利用したスーパーのトイレの個室に、遺骨が入った骨壺が置き忘れられている・・・蓋を開けて中を確認しようものなら、ぎょっとするような出来事だ。本来お墓に納骨されているはずのものが、身近な場所に「忘れ物」として残され 警察に遺失物として届けられる。そんな「遺骨の置き去り化」がここ数年増加しているらしい。「死」に対しての我々の意識に、いったい何が起こっているのだろうか。

■「遺骨の置き去り化」とは

遺骨は火葬後に丁重に供養して、お墓の中に納められる。それがごく当たり前のことであり、遺族が負うべき責任であると考えるのはごく自然なことだ。
しかし最近、遺骨をお墓に納めることなく 骨壺ごとどこかへ「意図的に置き忘れる」ケースが増加しているという。過去には西日本だけでも40件近く 遺失物として遺骨が警察へ届けられたこともあるようで、その数は詳細に明らかにはされていないものの 年々増加している。

発見される骨壺は、火葬場を特定できるような書類や戒名札などが抜かれており、その遺骨が誰なのか、誰が置き去ったのかが分からないようになっている。届けられた遺骨は警察署で保管されるものの、ほとんどのケースでは身元が特定できず 地域の寺で無縁仏として納められる。

■金銭面での原因――現代人とお墓について

一体なぜこのような行為が増加しているのだろうか。その原因の一端には、葬儀における金銭面の問題がある。

葬儀の規模縮小はもう現代においては珍しくない風潮だ。少子高齢化の進行、都市部での核家族化、そういったことにより 年々葬儀は一層簡素に、お金や無用な手間をかけずに行いたいという意識が高まっている。同時に、日本における「墓」の在り方も少しずつ変わっている。

遺骨を納める墓を、金銭面での理由で建てることができない。あるいは、先祖代々の墓を守ることができない・・・・・・特に身寄りのない老人などの状況を鑑みれば 理解できないことはない。墓を購入する場合では 少なく見積もっても100万円程度かかることがあり、年間を通してみてもその維持費、修理費、墓地の借用代など 確かに費用はかさむ。

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