森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 ビットコイン・バブル

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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 ビットコイン・バブル

 インターネット上の仮想通貨『ビットコイン』の取引価格が急騰し、12月8日には、史上初めて1ビットコイン=200万円を超えた。ビットコインの相場は、年初には1ビットコイン=10万円前後で落ち着いていたが、11月下旬に100万円を超え、さらにその後、2週間足らずで、2倍に急騰したのだ。
 これだけの高値を呼んだのは、なぜだろうか。それは、ビットコインの先物取引が始まることや、ビットコインを保有していると、新しい仮想通貨の無償交付が受けられるのではないかという期待が高まったからだ。しかし、私はいまの高値は完全なバブルだと思うし、一部で囁かれているように、ビットコインが普通の通貨を駆逐して主要通貨になるという事態も起きないと考えている。

 仮想通貨というのは、インターネット上の通貨だ。エディやスイカなどの電子マネーとは少し違う。電子マネーの場合は、支払いには使えるが、誰かに送金したり、現金に戻したりはできない。しかし、ビットコインは、その両方が可能だ。加えて、相場も大きく変動し、1日で何十%も価値が変動することも珍しくない。そのため、相場変動の激しいネット上の「外貨」だと理解するのが、適当と言えるだろう。

 ビットコインの為替相場が急騰を続いているのは、技術的に限界のあるビットコインの供給を需要が圧倒的に上回っているからだ。その結果、1年間で20倍もの値上がりになった。しかし、通貨の価値が20倍になるということは、裏を返せば1年間で物価が20分の1になったということだ。
 物価が下がる「デフレ」が経済を破壊するというのは、よく知られている事実だ。だから、もしビットコインが主要通貨になっていたとしたら、それを使う経済は、恐慌状態に陥っただろう。そうしたことから、ビットコインが将来、通貨の主役となることはないし、それを期待して投資してはいけないのだ。

 しかし、世界中に手数料なしで瞬時に資金移動ができるなど、仮想通貨が、通常の通貨と比べて計り知れない利便性を持っていることは間違いない。だから、私は今後、「固定相場」の仮想通貨が主役になっていくのではないかと考えている。
 例えば、三菱UFJグループでは、MUFGコインという仮想通貨を作っていて、いま1500人の行員が実証実験を行っている。

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