◎快楽の1冊
『西郷どん!』 林真理子 角川書店 前・後編 各1700円(本体価格)
つい先日に最終回を迎えたNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』。注目点は物語も終盤に差し掛かり本能寺の変に至って遂に、光秀の後裔を称する明智憲三郎氏が昨今主張する説を脚本家がほぼ丸呑みしていたことだった。
曰く真相は信長による家康主従の誘殺計画であったのを、事前に察知した光秀が逆手に取って信長を罠に嵌めた。自ら弄した策に溺れたのを知った信長無念の遺言が、あまねく伝えられる“是非に及ばず”の真意である、というものだが…。信憑性の是非はさておき来年の大河原作である本書。関東人の筆者はかつて永井荷風が記した如く、あくまで「明治の御一新でなく徳川家御瓦解」と言いたい旧幕びいきの錯覚DNAが意識の底でうごめく江戸慕情派であり、薩長主導史観には心理的に必ずしも与し得ぬこと多々あり。しかしそんな輩でも西郷の人格的巨大さと、その人間性の無限の懐かしさは絶対に否定できない。
明治維新から満150年の今年にかけて近頃、維新そのものの正当性を問い直し再検証する作業が史壇でも盛んだが、だからといって語り継がれる西郷の姿は全て虚像だとか長州藩を吉田松陰を先頭に門弟引っくるめてテロリスト呼ばわりするのもどうかと思う。
その点著者はことさら、新奇の解釈をちりばめることなく淡々と、西郷とその辿る運命をまさに彼好みの王道的に筆を進めているように見える。多用される薩摩弁の会話も魅力なだけに、西南戦争の末期に政府軍の包囲陣を辛くも脱出した西郷が断崖絶壁をよじ登りながら「夜這いに行くみたいだな」と呟くと、従う敗残兵が皆朗らかに笑ったといわれる場面も挿入してほしかった。最大の功労者が非業の死を遂げる、維新とは哀しき革命なのだ。
(居島一平/芸人)
【昇天の1冊】
常陸國總社宮…茨城県石岡市にある神社だ。総社とは、特定地域の神社で祀られている御祭神を合祀(集めて祀る)した場所のこと。常陸國總社宮は、水戸黄門で知られる徳川光圀とも縁がある由緒ある神社だという。
本好きリビドー(185)
2017.12.30 16:00
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