森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 ガラパゴス化する日本の自動車産業

| 週刊実話

 1月11日、日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が、昨年の新車販売台数のランキングを発表した。
 前年首位のプリウスを破ってトップに立ったのは、ホンダのN-BOXだった。それだけではない。3位のダイハツのムーヴ以下、ダイハツ・タント、日産デイズ、スズキ・ワゴンR、スズキ・スペーシアと、ベスト10の中で、軽自動車が6車種を占めたのだ。
 しかも、この6車種は、いずれも軽自動車の高さ制限をギリギリまで活かした、トールタイプの車だ。このことは、一体、何を意味するのだろうか。

 かつて軽自動車は、2台目、3台目のサブカーとしての役割を果たしていた。しかし、家計が苦しくなる中で、普通車を持たず、軽自動車だけですべてを賄おうとする家庭が増えている。だから、たっぷり荷物を積めるトールタイプが人気を集めているのだ。
 消費者が軽自動車を主役に据えた最大の理由は、維持費が安いからだ。1年当たりの自動車税と重量税の合計は、軽自動車の1万3300円に対し、排気量1000㏄のリッターカーは3万7000円と、実に3倍近い。その他に、タイヤも軽自動車の方が大幅に安いし、高速道路料金もおよそ3割引きだ。
 最近の軽自動車は、加速もよいし、室内も広い。また、安全性も大幅に向上している。つまり、経済合理性で選ぶなら圧倒的に軽自動車が有利なのだ。日本の自動車メーカーが、軽自動車という規格の中で必死に改善努力を積み重ねてきた結果だ。

 ところが、軽自動車とリッターカーで、ほとんど変わらないものがある。それが燃費だ。本来であれば、車体が小さく重量も軽い軽自動車の方が、燃費がよくて当然なのに、なぜそうしたことが起きるのか。それは、550㏄という排気量が燃費をよくするためには小さすぎるからだ。また、軽自動車の規格の中で室内空間を確保しようとすると、空気抵抗を減らすデザインを採用しにくいという事情もある。
 もちろん、軽自動車規格の中で最大限の成果を生み出す日本の技術は、飛び抜けている。だから、軽自動車の規格に挑戦してくる海外メーカーはどこもない。ただし問題は、軽自動車は輸入されていないけれど、輸出もほとんどされていないという事実だ。

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