タヌキといえば四国、といっても生息域ではなく民話や昔話などでタヌキが登場する物語の舞台としてだ。伊予(愛媛)や讃岐(香川)のエピソードも少なくないが、講談になったり、映画にもなったことでよく知られているのは「阿波狸合戦」だろう。
この「阿波狸合戦」に登場するタヌキ「金長(きんちょう)」を祀った、徳島県小松島市の神社「金長大明神(金長神社)」が取り壊される可能性があると、2018年3月13日付の徳島新聞が報じている。神社が建つ市営グラウンド整備の一環とのことだが、移設ではなく取り壊してしまうというのは、どういうことなのだろうか。
タヌキの像が入口にちょこんと(タコノマクラさん撮影, Wikimedia Commonsより)
タヌキも勝てない法律の壁
「阿波狸合戦」の詳細は省くが、金長というタヌキが「六右衛門(ろくえもん)」というタヌキと合戦になり、なんとか相手を倒したものの自らも致命傷を負い、かつて自分を助けてくれた人間「茂右衛門(もえもん)」のところにたどり着き、礼を言って絶命したというもの。
このことに感動した茂右衛門が金長を祀って建てたのが「金長大明神」、というのが「阿波狸合戦」の一連の物語だが、当然ながら真偽は不明だ。農林水産省中国四国農政局の公式サイト上には地域を紹介するコンテンツのひとつとして「コラム―金長神社」が掲載されており、この中で、
「茂右衛門は、小松島に実在した人物で、明治維新の頃までは、実際に染物屋の裏庭に、祠もあったそうです」と記載されているが、これは確認のしようがない。
神社内に建つ金長の像。