玉木正之のスポーツ内憂内患「伊調馨選手にはコーチを選択する権利がある!」

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玉木正之のスポーツ内憂内患「伊調馨選手にはコーチを選択する権利がある!」

 オリンピック4連覇、そして国民栄誉賞に輝いた伊調馨選手に対する「パワハラ疑惑」で、女子レスリング界が揺れている。「パワハラを行った」と告発状で訴えられたのは、伊調選手のかつての「師匠」で「恩師」と言われた栄和人氏。多くの女子メダリストを育て、金メダルを獲得した吉田沙保里選手や伊調選手をスキンヘッドで肩車した姿は、日本人なら誰もが知っているほどの有名人だ。

 が、伊調選手は04年アテネ大会と08年北京大会で金メダルを獲得したあと、栄氏の拠点である愛知県の至学館大学を離れ、東京で男子レスラーに混じり、アテネ五輪男子フリースタイル55kg級銅メダリストの田南部力氏の指導を受けて練習を行うようになった。

 そして伊調選手は12年ロンドン、16年リオと連覇を伸ばしたのだが、告発状によれば、栄氏は〈自分の言う通りにならない伊調を許すことができず、伊調が信頼しているA(田南部氏)に対し伊調のコーチングをしないように命じた〉という。

 それに対して田南部氏はレスリング協会の常務理事で選手強化本部長でもある〈栄理事の専制的でかつ恣意的なやり方を知っているので、伊調馨を守らなくてはならないと考え〉栄氏の〈命令〉を拒否。

 伊調選手自身も、この件を報じた週刊文春の取材に応じ、〈「田南部のコーチを受けるな」と直接(栄氏から)言われたこともあります〉と明言。田南部氏も栄氏から伊調の指導をするなと迫られたことを認めた。

 一方、栄氏は〈命令〉を全面的に否定。レスリング協会も、〈田南部コーチやその周辺に不当な圧力をかけたことは一切ありません〉とパワハラを否定した。

 伊調選手が2年後の東京五輪に向けて、練習場所にしていた警視庁のレスリング部への〈立ち入りも禁じられた〉現状も、レスリング協会は、そんな〈圧力はない〉と文書で回答。

 そして真っ向から対立する見解は、第三者委員会の調査によることとなったのが、このような一件は、相撲界で騒がれた暴力問題や八百長問題と同様、内部の人間(レスリング関係者)なら誰もが(とは言わないが、多くの人々が)知っている問題と言える。

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