玉木正之のスポーツ内憂内患「伊調馨選手にはコーチを選択する権利がある!」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

 この問題が表沙汰になって以来、多くのメディア(特にテレビのワイドショウ)が、この問題を取りあげ、私も何度もゲスト出演して解説を依頼された。

 そこで、レスリング協会という組織の運営(ガバナンス)と、現場の選手の指導(コーチ)は切り離すべきで、栄氏のように一人の人物が両者を兼ねるとパワハラが起こりやすいといった一般論を述べたりもした。

 そもそも伊調選手が、より上のレベルを目指して環境(コーチ)を変えたいと思ったのは当然のことで、それに対してレスリング協会の某幹部が(週刊文春によると)田南部コーチに〈女子コーチの身にもなってみろ! 惨めだろ!〉と言ったのは、日本のスポーツ界の極めて古い体質を物語っている。

 最近は「アスリート・ファースト」という言葉をよく耳にするが、それは「選手がコーチを選ぶ」ことであり、「コーチが選手を選ぶこと」ではない。ましてや「師匠と弟子」といった日常生活にまで指導が及ぶ関係でもない。選手は、自分の目標を達成するうえで、それに相応しいコーチを選択する権利があるのだ。

 フィギュアスケートの羽生選手はカナダのオーサー氏をコーチに選び、スピードスケートの小平選手はオランダへ留学した。それがアスリート・ファーストだ。

 栄和人氏は選手と生活を共にするなかで大勢の女子メダリストを育ててきた。が今回、伊調選手周辺から出た声は、「師匠と弟子」の関係から「アスリート・ファースト」への変化を求める発言と言えるだろう。

玉木正之

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