患部にはプレート。それでもヘル ウヴェは迷わずプレッシャーをかけに行く。

| ラグビーリパブリック

 右の前腕には、黒いテーピングをぐる、ぐると巻いてある。

 それでもヘル ウヴェは、高揚感を隠さない。

 約22週間ぶりの実戦復帰を前に、「…嬉しい!」と言い切る。ちなみにヘルは、トップリーグの2016年度シーズン中に日本国籍を取得。拓殖大卒業後に加わったヤマハでは通算4季プレーしていて、日本語での会話にも不自由しない。

 国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦3季目のサンウルブズは、3月24日、東京・秩父宮ラグビー場で5戦目にあたる第6節でシーズン初白星を目指す。加入2年目のヘルは、ぶつかり合いが多いLOとして今季初先発する。

 相手はニュージーランドのチーフスだ。過去2回の優勝経験を誇る強豪との一戦へ、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは「ウヴェみたいなフィジカルな選手が必要」。トンガにルーツを持つ身長193センチ、体重115キロのパワフルランナーに白羽の矢を立てる。

「怪我が、まだ治っていません。骨がまだコネクトしていなくて」

 さかのぼって今月6日、都内の辰巳の森ラグビー練習場でのことだ。

 日本代表の予備軍が集まるナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)の合宿中、トレーニングを終えたヘルは、自らのコンディションについてこう話していた。サンウルブズ本隊が南アフリカに遠征するかたわら、NDSで課題のスタミナ向上に着手していた。

 やむを得なかった。日本代表として出た昨年11月4日のオーストラリア代表戦(神奈川・日産スタジアム/●30-63)で、右腕の前腕を骨折していた。2月初旬の福岡・北九州での事前合宿ではタフな練習にも元気に参加していたが、実際は万全ではなかったようだ。検査の末、間もなく戦線離脱。「コネクトしていなくて…」と発言した際は、本格的な実戦練習も自重していた。

 それでも、チーフス戦での復帰を虎視眈々と狙っていた。

「今週末、(患部を)もう一度チェックします。ここでもしよければ、チーフス戦へ…」

 同じLOでは、南アフリカで活躍したグラント・ハッティングが今週のセッションへ加わらず、サム・ワイクスも2月下旬の怪我で別メニュー調整を余儀なくされている。

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