借主が無償で貸主から資産を借り受ける取引を使用貸借といいます。親子間で土地を貸すような場合にこの使用貸借がなされますが、使用貸借について押さえておくべきは使用貸借に関連する経費が発生したとしても、その経費を不動産所得の経費として申告することはできないということです。
個人の不動産の賃貸借については、その賃料に係る経費を不動産所得の必要経費として控除することが可能ですが、使用貸借は賃料を得ることができない取引ですので、このような取引に関する経費は存在しないと考えられているため、経費を申告することは認められません。
■無償以外にも使用貸借になり得る
賃貸借か使用貸借かで不動産所得の経費の範囲は大きく異なる訳ですが、問題になるのは完全に無償で貸す場合だけが、使用貸借に該当する訳ではないということです。実際のところ、国税の見解においては、土地の貸し借りについて、土地の借受者と所有者との間に当該借受けに係る土地の公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものは、使用貸借に該当すると解説されています。
このため、収入する賃料の金額が土地の公租公課、すなわち固定資産税などの年税額とほぼ同額かどうかチェックしなければなりません。
■取るべき地代の年額
ところで、この使用貸借に関して問題になるのは、オーナーがオーナーの同族法人に土地などを貸す取引についてです。使用貸借は無償取引となりますので、同族法人に使用貸借で無償で自分の土地を貸して、オーナーは収入がゼロとして不動産所得を申告しない、といった対応で問題ないとお考えになる方もいらっしゃいます。しかし、法人との取引については時価で取引する必要があるとされているため、使用貸借として地代を取らないというのは難しいと考えられます。結果として、取るべき地代は取らなければならず、賃貸借で貸し借りをするという結論になります。
この場合、いくらの地代を取れば国税に文句を言われないのか気になるところですが、取るべき地代の年額としては、固定資産税相当額の「2倍程度以上」、「2~3倍」、「2.5倍以上」、「土地の時価の1.5%相当額以上」という考え方があると言われています。
これはあくまでも考え方であり、実際のところは異なる判断もなされますので、近隣の第三者間取引における相場を参考にしつつ決定する必要があると思われます。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
【使用貸借】親の土地を無償で借りて不動産所得が生じた場合の注意点を解説!
2018.05.11 19:00
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