衆院議員だった父親の急死から「文学への道」を断念、早大文学部から同大の大学院政治学研究科に入った小渕恵三は「政治家への道」へ真っしぐらであった。そしての“総仕上げ”が、世界を知る、すなわち「何でも見てやろう」精神での世界一周武者修行、放浪の旅であった。世界見聞の成果の披露も、選挙の際の“売り”にするつもりであった。
小渕が回ったのは、台湾を振り出しに東南アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ、中南米の都合38カ国で、途中、カネも潤沢にあるわけでなし、外貨持ち出し制限の時代でもあり、アルバイトをしながらの旅であった。その旅先から、その地その地の絵ハガキで、都合9カ月の旅で妻になる千鶴子にじつに1日1通以上、300通のラブレターを送り続けていたというから、その恋心の想いが知れる。
当時、千鶴子は東京・練馬区に住んでいたが、あまりに同じ人物から頻繁にハガキが届くので郵便配達員も心得たもので、やがては「東京都練馬区」だけの町名番地なしで、千鶴子のもとに届くようになったのだった。
ちなみに、この放浪の旅に際して、のちに「政治の師」となる竹下登元首相との関係を示すエピソードがある。竹下は小渕の早大雄弁会の先輩にあたるが、竹下はこの後輩の小渕をかわいがっていた。ある日、小渕は海外に出て何か困ったことがあれば日本の大使館にでも駆け込めば助かるだろうと、当時、自民党青年局長だった竹下に名刺の裏書きでもしてもらおうと思って訪ねたが、折から自民党本部の青年局長室には竹下は不在であった。
ここで小渕は、竹下先生なら許してくれるだろうと、竹下の机の上から名刺を1枚拝借、自ら「小渕恵三君を自民党青年局代表にして派遣する。宜しくの程を。青年局長竹下登」と“裏書き”し、さらに勝手に机の上の青年局長の印鑑を押してしまったのだった。当時の自民党は、そのくらい“おおらか”でもあったということである。
さて、小渕はこの旅のさなかのアルゼンチンで、「センキョチカシ キコクセヨ」の電報を受け取った。昭和38年(1963年)11月、衆院選公示はその1カ月後であった。待ちに待った初陣、帰国した小渕の選挙戦のキャッチフレーズは、「小渕恵三、26歳、独身。若さで政治に新風を送り込みます!」であった。旧〈群馬3区〉の地元記者のこんな証言が残っている。
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 小渕恵三・千鶴子夫人(中)
2018.06.11 08:00
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