将来の夢は医師。2020年の東京オリンピックにも出たい。(撮影/松本かおり)
走ったら止まらない。
走られても止める。
福岡堅樹が好調だ。
6月9日、日本代表はイタリア代表に34-17と勝った。その試合で背番号11は、自らトライを奪うだけでなく、攻守に幅広い動きを見せて勝利に貢献した。
まず前半18分。先制トライに絡んだ。
タッチに出たボールをクイックで入れた後のアタック。福岡は大外でボールをもらうと、相手のタックルを受けながら内につなぐ。NO8アマナキ・レレィ・マフィのトライを呼んだ。
「オフロード(パス)でボールを残すのは、サンウルブズでもやってきたことなので」
相手がキツそうな表情をしていた。仲間がカウンターアタックを仕掛けることを予想していた。
チーム2つめのトライ時(前半28分)には、高い個人技を見せた。ディフェンダーの動きをよく見て抜いた。
自信が視野の広さを呼んでいる。
「外に抜ける、と思いました。相手は少し内側を気にしていたので」
自陣10メートルラインの手前でパスを受けてから60メートル以上を走り切る間、タッチラインと5メートルラインの幅の中から出ることはなかった。
チェンジオブペースで抜いた。
「(外には5メートルもなかったが)いけるスペースだな、と。気持ち良かった。このクラス相手に、ああいうトライはなかなか取れないので」
置き去りにした相手はFBマッテオ・ミノッツィ。
世界トップクラスを翻弄してみせた。
多くの人が充実を感じるのは、アタックだけの選手ではないからだ。
思い切って前に出るディフェンスシステム。ハマれば相手に大きなプレッシャーを与えるが、ウラを取られることも少なくない。
そんな場面で何度もピンチを救った。
前半14分、CTBミケーレ・カンパニアーロに自陣へ入り込まれたときも、この人が戻って止めた。
「走られたのは自分の責任でもあったので。リスクを覚悟して前に出ています。