森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 億万長者が激増している

| 週刊実話

 キャップジェミニというコンサルティング会社が、2018年版の「ワールド・ウェルス・レポート」を発表した。この調査は、世界に富裕層がどれだけいて、その富裕層がどれだけの資産を持っているのかを調べたものだ。
 この調査では、富裕層をHNWI(ハイ・ネット・ワース・インディビデュアル)という概念でとらえている。これは、100万ドル(1億1000万円)以上の投資可能な資産を持つ者のことだ。
 投資可能資産の中には、自宅不動産や消費財などの非投資資産は含まない。純粋に右から左に動かせるカネを1億1000万円以上持っている億万長者がHNWIなのだ。
 このHNWIの数は、2017年には世界全体で1810万人だった。前年と比べて9.5%増えた。そしてHNWIが保有する投資資産は、70兆ドル(7700兆円)、日本のGDPの14倍もの投資可能資産が、富裕層によって保有されているのだ。

 注目は、日本の位置づけだ。HNWIは、米国人が528.5万人と最も多いが、それに次ぐのが日本人で316.2万人もいるのだ。しかも、その数は前年と比べて9.4%も増えている。
 日本人HNWIが保有する投資資産は847兆円、1人当たり平均で2億6800万円になる。これだけ莫大な投資資産を持つ日本人が急増し、いまや300万人以上に達しているというのが、今の日本の真の姿なのだ。
 日本のGDPが世界に占める割合は6%だ。ところが、日本のHNWIの人数が世界に占める割合は17%に及んでいる。つまり、日本は世界に冠たる億万長者大国と言える。

 サラリーマンの生涯賃金が2億円と言われる世の中で、これだけの資産を働きながら作れるはずがない。いったい、何が起きているのか。
 そのヒントは、所得分配にある。安倍政権が発足して5年間で、実質GDPは7%増えている。経済のパイは大きくなっているのだ。ところが、実質賃金は4%下がっている。つまり、成長の成果を富裕層が独占しているどころか、成長の成果以上に、富裕層が庶民の所得を奪う形で一層金持ちになっているのだ。

 こうした現象が起きれば、普通だったら庶民の怒りは爆発する。現に、いま世界では、左翼の台頭が著しい。

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