「愛人に全財産を残したい」こんな遺言書を実現する方法は?

| まいじつ
(C)tomwang / PIXTA(ピクスタ)

高齢化とともに熟年離婚、そして熟年同士の結婚も一般的になり、遺産相続を巡るトラブルが増えている。

例えば芸能界で記憶に新しい話として、2014年3月に亡くなった俳優の宇津井健さんは、内縁関係を続けていた高級クラブのママと臨終の5時間前に婚姻届を提出したが、宇津井さんの長男とトラブルになった。正式に婚姻届を出してももめるのだから、そうでなければなおさらだ。

大阪に住む75歳の会社経営者が悩みをこう明かす。

「妻と別居して約20年になるが、妻が離婚に応じてくれないため、ずっと籍は入れたままになっている。その間、恋人(愛人)と一緒に暮らしてきた。終活を考えているが、会社は後継者に任せ、遺言状を書こうと思っている。別居中の妻よりもはるかに私を親身に世話してくれた彼女にできるだけ多くの財産を残したい」

疎遠になった親族よりも、親身に世話してくれる“他人”に財産を残したい気持ちは、人情として理解できるが、民法には法定相続人や相続分についての規定がある。遺言によって民法の規定と異なる内容を定めることは可能なはずだが、実際のところどうなのか。相続に詳しい弁護士はこう話す。

「遺言によって相続人以外の人に財産を譲ることはできるので、この大阪の方も恋人(愛人)に財産を譲るということを遺言に記載しておけば可能です。遺言によって遺言者の財産を譲ることを『遺贈』といいます」

遺産の2分の1までなら遺贈できる

では、遺贈では何でも自由にできるのだろうか?

「いや、配偶者には遺留分があるので、何でも自由にできるわけではありません。遺留分とは、一定の相続人が最低限相続できる財産のことをいいます。遺留分のある相続人は、配偶者、子供、父母です。法定相続人の第3順位である兄弟には、遺留分はありません」(同・弁護士)

この大阪の経営者はできれば全財産を恋人に遺贈したいようだが、どうなのか。

「仮に全財産を恋人(愛人)に譲ると遺言で残しても、その遺言自体が無効になるわけではありませんが、配偶者が相続開始後に遺留分を請求すると、恋人(愛人)は配偶者に遺留分を渡さなければなりません。

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