企業・経済深層レポート 空飛ぶクルマ実用化を目指す日本企業の苦悩

| 週刊実話

 SFの世界では定番の「空飛ぶ車」。まだまだ実現は遠い未来の話かと思いがちだが、実は欧米を中心に実用化寸前まできている。日本政府はそんな世界の潮流に乗り遅れないよう、経済産業省が主導して「空飛ぶ車」の実現に向けた官民協議会を設立し、初会合を8月末に開いた。

 早ければ5年後(2023年)に実用化させる予定だというが、自動運転や電気自動車など、先進技術で後れを取っている日本は、どこまで世界に対抗できるのだろうか。

 まず、協議会設立の背景を全国紙経済部記者が解説してくれた。
「やはり政府が動き出したのは、世界の空飛ぶ車の実現化の動きがあまりに急ピッチで進んでいるからでしょう。特に米中は動きが速い。このまま行けば、世界に後れをとった携帯や家電製品の二の舞になりかねません。それと、過去に自動車王国といわれた日本としてのプライドもあると思いますね」

 協議会には、アメリカの航空会社ボーイング、米配車サービス大手ウーバー・テクノロジーズ(以下、ウーバー)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、日本の研究者有志グループ・カーティベーターや国内初の産業用ドローン専門メーカー・プロドローンなどの民間企業・団体が参加し、空の移動の将来像についてのプレゼンテーションが行われた。
「やはり最大の注目は最先端を走っているとされるウーバーですね。登壇した代表者は『2020年にデモンストレーションを実施し、2023年には商用サービスを開始する』と宣言していました」(同)

 ウーバーは空飛ぶタクシー「ウーバーエアー」の試験飛行を2020年に行う予定だ。すでにアメリカでの実施は決定し、それ以外で将来的に運行したい地域で試験飛行をするという。その候補地として日本、インド、オーストラリア、ブラジル、フランスの5カ国が上がっている。

 ウーバー以外にも、外資には注目企業が多い。
「グーグル創始者ラリー・ペイジが支援する『キティホーク』、フランスの『エアバス』、シリコンバレーのスタートアップ企業『Ooener』など、40社以上が実用化一歩手前まで来ています」(同)

 一方、国内で「空飛ぶ車」の実用化の有力候補は前出の「カーティベーター」だ。

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