企業・経済深層レポート 空飛ぶクルマ実用化を目指す日本企業の苦悩 (2/2ページ)
トヨタ自動車グループやNECから資金援助を受けたこの会社は、東京オリンピックの聖火に空飛ぶ車での点火を目標としている。さらに、2023年までに国内での販売を目指しているという。
学生・社会人のプロフェッショナルを集めたプロジェクトチーム「テトラ・アビエーション」も有力候補だ。このグループはアメリカの航空会社ボーイングが主催する世界95カ国から約3000人が参加した個人用飛行装置開発コンテスト(第一期)にて、世界のトップ10に選ばれるほどの実力を持つ。
さらにKDDIが業務提携するベンチャー企業「プロドローン」は、年内に空飛ぶタクシー「AEROCA(エアロカ)」の開発に乗り出す予定だ。
現状、日本企業も実用化に向けて遅れをとっているとは思えないが、日本にはクリアしなければならない難題がいくつもあると、ベンチャー企業関係者は語る。
「まず、航空法との整合性が問題になるでしょう。当然、飛行機やヘリコプターは航空法に基づいて許可を受けているし、離発着には管制塔との無線のやりとりも必要です。日本の国際的な玄関口である成田空港の航空機離発着数は年間約25万回、羽田空港でも1日600回の離発着が行われています。これに民間ヘリも加わりますし、日本は米軍基地の空域問題もあります。ここに空飛ぶ車が航空法の範囲で許可されれば、東京の空は大変なことになります。その問題点をクリアする方法として考えられているのが、航空法網にかからない高さで飛ばす案です」
それに加え、問題なのは騒音だ。ヘリコプター並みの馬力で車を飛ばせば、地上は24時間、騒音が鳴り止まなくなる。技術的な問題として、消音モーターの開発が急務である。
航空法や騒音問題をクリアしたとしても、困難は続く。
「故障や事故によって車が墜落した場合にどうするかはまだまだ議論が必要です。とにかくクリアすべき難題がたくさんあるので、政府が舵をとらないと先に進みません。困難な壁があるからと政府がしり込みすれば実用化も遅れますが、日本政府はやはり動きが重い。その点、アメリカは連邦航空局が先頭に立ち難題をクリアしようと官民一体で突き進んでいます」(同)
現状、日本政府も協議会を設立し、本腰を入れて動き出したように見えるが、口ばかりの単なるセレモニーでないことを祈るばかりだ。