10月に入って、日経平均株価がつるべ落としで下がっている。10月2日につけた年初来高値の2万4448円から、10月26日には2万1149円と、3299円も下げた。原因の大部分は1人の男にある。もちろん、トランプ大統領だ。
日本経済が苦境に陥っている一つの原因は、原油高だ。昨年40ドル台だったWTI原油価格が、70ドル近くまで高騰。理由は、中東情勢が混迷しているからである。そのきっかけを作ったのが、トランプ大統領だ。
トランプ大統領は今年5月、’15年に成立したイランの核開発を国際的に監視する核合意から離脱。理由は、イランの核兵器保有を完全に封じることができない合意は許さないためだという。国際社会は離脱を止めようとしたが、それを押し切っての離脱だった。そして、トランプ大統領は、8月にイランへの経済制裁を復活させた。制裁対象には、イランの自動車産業も含まれ、イランに工場を展開している欧州の自動車メーカーに大きな打撃となる一方で、日本もイラン産原油の輸入停止に追い込まれようとしている。トランプ大統領の本音は、イランと対立するイスラエルの肩を持つこと。だが、そのツケが世界経済に回ってきているのだ。
もう一つの苦境の原因は、米中貿易摩擦だ。9月にトランプ大統領が中国に課した制裁関税の第3弾は、対象が日用品や家電製品など、米国の消費者物価を上昇させてしまう商品だった。しかもその税率は来年の1月から25%に引き上げられようとしている。そうなれば、消費への悪影響は避けられないという予想から、米国株が大幅に下がっているのだ。貿易戦争が経済の足を引っ張ることは、ほぼすべての経済学者たちが共通して警告している。しかし、トランプ大統領はまったく聞く耳を持たないのだ。
株価の下落が止まるチャンスは11月6日の米国の中間選挙だ。ここで民主党が勝ち、下院で過半数を握れば、トランプ大統領の暴走にある程度の歯止めをかけられるだろう。また、トランプ大統領の強硬姿勢が、選挙向けのポーズであるとしたら、勝敗にかかわらず、穏健な政策に転ずる可能性もゼロではない。ただ、強硬な外交姿勢が性格によるものだとしたら、打つ手がないのが現実だ。
そうした中で、私が期待しているのは、安倍総理の中国外交だ。
森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★株価下落が止まらない
2018.11.14 07:00
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