いつでもいいスクラム、いい試合を。明大の武井日向、痛恨の1本を振り返る。

| ラグビーリパブリック

 明大ラグビー部は、加盟する関東大学対抗戦Aを5勝2敗の3位で終えた。「悪いメイジと、いいメイジという2面性があると思うんです」と話したのは、3年生部員の武井日向。身長170センチ、体重98キロと小柄ながら、突進とタックルで光るHOだ。

 春、夏の対戦時も制していた大学選手権9連覇中の帝京大を23-15で下しながら、慶大、早大には24-28、27-31とそれぞれ敗れた。

 いずれも僅差のスコアだが、勝ったゲームと負けたゲームとでは防御時の圧力やタックラーの起き上がりの速さなどに差があったような。帝京大陣営が「明大のFWのディフェンス」を称えていた一方、早大のある選手は「ディフェンスに関しては明大のプレッシャーは少なかった」と明かしていた。

 田中澄憲新監督のもとタフさを増していた名門校に、安定感という課題が残った。武井は続ける。

「常にいいメイジのラグビーをしないと、これから勝っていくことはできないです」

 話をしたのは12月2日の東京・秩父宮ラグビー場。早大戦に敗れた直後のことだ。「大きなところで言えば、コミュニケーション(が課題)」。例えば、キックを蹴った直後の防御(チェイス)を破られたシーンについてはこう悔やんだ。

「キックチェイスのところも、コミュニケーションが取れていなかったからああいう形になったのだと思います。練習中からコミュニケーション(の質)をもっと上げていかなきゃいけない。ビッグゲームではいかに落ち着いてプレーできるかが鍵になる。(戦前の)アップの時から、コミュニケーションは少ないなと感じていた。(試合前の)1週間の準備はしっかりしてきたのですが…。観客の多い、ここという試合で、チームとして焦りが出ている。それは今回や慶大戦で皆、感じたと思う。次は同じミスをしないようにしたい」

 本人が最も落胆したシーンは、後半11分頃にあった。

 この時の明大は13-17と4点差を追うなか、敵陣深くまで迫っていた。ペナルティキックを得ると、SHの福田健太主将は決まれば3点のペナルティゴールではなくスクラムを選択。

 明大は滝澤佳之コーチのもと、組み手のパワーをひとつに集約するスクラムを磨いていた。

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